「地方公務員だから副業は絶対に無理…」と、将来の収入やキャリアプランに不安を感じながらも、行動をためらっていませんか。
実は、法律で定められた正しい手順を踏み、適切な許可申請を行えば、地方公務員でも副業をすることは十分に可能です。
しかし、「どこまでの副業が許可されるの?」「どうやって申請すればいいの?」「そもそも任命権者って誰のこと?」など、具体的な情報が少なくて不安に感じている方も多いでしょう。
この記事では、法律の専門用語を一切使わず、地方公務員の副業が許可される具体的な範囲や、実際に許可されたリアルな事例、そして許可を得るための申請手順まで、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたの副業に関する漠然とした疑問や不安が解消され、実現に向けた確かな第一歩を踏み出せるはずです。
結論として地方公務員の副業は許可申請をすれば認められる可能性があります
まず最初にこの記事の結論からお伝えします。
地方公務員の副業は、法律で原則として禁止されていますが、任命権者(知事や市町村長など、職員を任命する権限を持つ人や組織)から許可を得ることで、例外的に認められる場合があります。
重要なのは、どんな副業なら許可されやすいのか、そしてどうやって正しく申請するのかを知ることです。
この章では、副業を実現するための基本的な考え方について解説します。
副業を始めるにはまず所属部署への許可申請が絶対条件となります
地方公務員の方が副業を始める上で、絶対に避けて通れないのが「許可申請」という手続きです。
これは地方公務員法という法律で、職員は「全体の奉仕者」として公共の利益のために働くことが定められており、その職務に専念する義務があるためです。
そのため、営利を目的とする会社の役員になったり、自分で事業を経営したりすることは原則として禁止されています(営利企業への従事等の制限)。
しかし、同じ法律には「任命権者の許可」があれば例外的に認められるという道も示されています。
つまり、あなたが「こんな副業をしたい」と考えたとき、自己判断で始めるのではなく、必ず勤め先のルールに従って正式な手続きを踏むことが、すべてのスタートラインになるのです。
この記事を読めば副業許可の範囲から具体的な申請方法まですべて分かります
「許可が必要なのは分かったけど、具体的に何をどうすればいいの?」という疑問が次々と湧いてきますよね。
ご安心ください。
この記事では、地方公務員の副業について、あなたが知りたい情報を網羅的に解説していきます。
- どこまでの副業なら許可されるのか、具体的なボーダーライン
- 実際に許可が下りた副業のリアルな成功事例
- 許可をもらうための申請書の書き方や提出先といった具体的な手順
- 許可が不要な資産運用などの範囲
- 無許可の副業がバレる典型的なケースと、そのリスク
読み終える頃には、副業を始めるための具体的なアクションプランが立てられるようになっているはずです。
自己判断で副業を始めると懲戒処分の対象となるリスクがあります
許可申請という手続きを面倒に感じて、「少しだけならバレないだろう」と無許可で副業を始めてしまうのは、絶対にやめてください。
もし無許可の副業が発覚した場合、地方公務員法に基づき、重い懲戒処分を受ける可能性があります。
最も軽いものでも文書による注意である「戒告」、ひどい場合には給料が減らされる「減給」、一定期間出勤停止となる「停職」、そして最悪の場合は職を失う「懲戒免職」といった処分が待っています。
軽い気持ちで始めたアルバイトが、あなたの公務員としてのキャリアを根底から揺るがしてしまうこともあるのです。
だからこそ、正しい知識を身につけ、正規のルートで進めることが何よりも大切になります。
そもそも地方公務員の副業が法律で厳しく制限されている三つの理由
なぜ地方公務員の副業は、民間企業の社員と比べてこれほど厳しく制限されているのでしょうか。
それには、公務員という仕事が持つ「公共性」や「中立性」に基づいた、三つの重要な理由があります。
この理由を深く理解することが、逆に言えば「どんな副業なら許可されやすいか」を考える大きなヒントにもなります。
ここでは、その三つの理由を一つずつ分かりやすく解説していきます。
公務員の信頼を損なう行為を防ぐための信用失墜行為の禁止
一つ目の理由は、公務員と行政全体の「信用」を守るためです。
地方公務員は、全体の奉仕者として住民のために働く立場にあり、その行動一つひとつが行政全体の信頼に直結します。
例えば、公務員が特定の建設会社で副業をしていれば、「公共工事の入札で、その会社が有利になるような便宜を図るのではないか」と住民に疑念を抱かせてしまうかもしれません。
そうした疑いを招く行為自体が、公務員の信用を傷つける「信用失墜行為」とみなされるため、副業が厳しく制限されているのです。
職務上の秘密が外部に漏れることを防ぐための守秘義務
二つ目の理由は、職務上知り得た「秘密」を守るためです。
地方公務員は、仕事を通じて個人の住民票や戸籍、税金の情報、企業の内部情報、まだ公開されていない都市計画など、非常に重要で機密性の高い情報に触れる機会が多くあります。
もし副業先で、そうした情報をうっかり漏らしてしまったり、利益のために利用したりすれば、個人のプライバシー侵害や行政の公平性を損なう重大な問題に発展します。
このような事態を防ぐために、公務員には退職後も含めて厳しい守秘義務が課せられており、情報漏洩のリスクがある副業は認められにくいのです。
本業である公務に集中するための職務専念の義務
三つ目の理由は、文字通り、本業である「公務員の仕事に集中する」ためです。
地方公務員の仕事は、住民の生活や安全を支える重要な役割を担っており、常に心身ともに万全の状態で職務に当たることが求められます。
もし副業で夜遅くまで働き、翌日の窓口業務中に居眠りをしてしまったり、疲れから重要な書類でミスを連発したりするようでは、住民サービスに深刻な支障をきたしてしまいます。
このような事態を避けるため、「職務専念の義務」が定められており、本業のパフォーマンスに少しでも影響を与えるような副業は許可されないのです。
地方公務員の副業を制限する三つの義務
1.信用失墜行為の禁止(地方公務員法 第33条)
公務員全体の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
2.守秘義務(地方公務員法 第34条)
仕事で知った秘密を漏らしてはならない。
3.職務専念の義務(地方公務員法 第35条)
勤務時間中は、自分の仕事に集中しなければならない。
地方公務員の副業許可はどこまで認められるか具体的なボーダーライン
「副業が制限される理由は分かった。
では、具体的にどこからどこまでなら許可されるの?」というのが最も気になるところでしょう。
許可の判断基準は、シンプルに言えば、先ほど説明した「三つの義務」に違反しないかどうかです。
この章では、許可される副業と許可されない副業の境界線について、具体的な例を挙げながら解説します。
本業に支障がなく社会的な信用を損なわないことが大前提です
副業が許可されるための絶対的な条件は、「本業の業務に一切支障が出ないこと」と「公務員としての信用を傷つけないこと」の二つです。
例えば、勤務時間外や休日に行うもので、肉体的・精神的な疲労が少なく、翌日の業務に影響しないことが求められます。
また、その副業が反社会的なものでないことはもちろん、特定の業者と癒着していると疑われるようなものであってもいけません。
この二つの大原則をクリアしているかどうかが、許可・不許可を判断する最初の、そして最も重要なふるいになります。
不動産投資や農業は一定の規模以下なら許可されやすい事例です
許可されやすい副業の代表例として、不動産投資や農業が挙げられます。
ただし、これらも無条件に認められるわけではなく、「事業的規模」に至らない範囲という厳しい条件がつきます。
例えば不動産投資の場合、国の基準では「独立家屋であれば5棟以上、アパートなどであれば10室以上」または「年間の家賃収入が500万円以上」になると事業的と見なされることが一般的です。
これ以下、例えば親から相続したアパート1棟(4室)の大家として家賃収入を得る、といったケースは許可されやすい傾向にあります。
農業も同様で、実家の農家を週末に手伝う程度であれば問題ありませんが、大規模な農地で多くの作物を生産・販売するような形になると事業と見なされ、許可が難しくなります。
営利目的が強いアルバイトやネットビジネスは許可が難しい傾向にあります
一方で、許可を得るのが非常に難しい副業もあります。
それは、営利目的が非常に強く、地方公務員法で制限されている「自ら営利企業を営むこと」に該当する可能性が高い仕事です。
例えば、コンビニエンスストアや飲食店でのアルバイト、個人で商品を仕入れて販売するネットショップ運営などは、直接的な営利活動と見なされ、公務員の職務の中立性を損なう可能性があるため、原則として許可されません。
また、ウーバーイーツの配達員のような、個人事業主として働く形態も、営利性が高いと判断されて許可が下りないケースがほとんどです。
実際に地方公務員が副業許可を得た具体的な成功事例を職種別に紹介
理論だけでなく、実際にどのような副業が許可されているのか、具体的な事例を知りたいですよね。
ここでは、実際に地方公務員が許可を得て行っている副業の成功事例を、いくつかのパターンに分けてご紹介します。
あなたのやりたいことやスキルに近いものがないか、ぜひ参考にしてみてください。
親から受け継いだ不動産経営で家賃収入を得ている事例
これは最もよく見られる許可事例の一つです。
例えば、父親が亡くなり、所有していたアパート1棟(8室)を相続したAさんのケース。
Aさんは、管理業務を不動産管理会社に完全に委託し、自身は家賃収入を得るだけ、という形で副業許可を申請しました。
申請にあたっては、管理会社との契約書を添付し、自身が運営に直接関与しないこと、あくまで資産管理の一環であることを強調しました。
その結果、本業への支障はなく、事業的規模にもあたらないと判断され、無事に許可が下りました。
これにより、Aさんは本業の給与に加えて、年間約300万円の副収入を得ています。
専門知識を活かした執筆活動や講演で収入を得ている事例
自身の専門性を活かす形の副業も、許可されやすい傾向にあります。
例えば、福祉課に勤務するBさんは、社会福祉士としての専門知識を活かし、福祉関連の専門誌に記事を執筆する活動の許可を得ました。
申請の際には、執筆内容が公務員の守秘義務に触れないこと、あくまで個人の知見として発表すること、原稿料が社会通念上、妥当な金額であることを丁寧に説明しました。
その結果、専門性向上や地域貢献にもつながると評価され、許可されました。
同様に、町の歴史に詳しい職員が地域の歴史について講演会を行う、といった事例もあります。
実家の農業を休日に手伝い農作物の販売で収入を得ている事例
地方の自治体では、実家が農家という方も少なくありません。
Cさんは、高齢になった両親が営む小規模な果樹園を、土日の休日だけ手伝うという形で副業の許可を申請しました。
主な作業は収穫や草刈りなどで、収穫した果物の一部を直売所で販売した収益の一部を受け取る、という形です。
申請書では、あくまで家業の手伝いの範囲であり、新たな事業として大規模化する計画はないこと、平日の業務には全く影響がないことを具体的に説明し、許可を得ることに成功しました。
これは地域貢献や家族の助け合いという側面も評価された、心温まる事例です。
許可が不要な副業も存在する申請なしで始められる範囲を解説します
実は、すべての副業に許可申請が必要なわけではありません。
中には、申請をしなくても行うことができる「資産運用」などの活動も存在します。
ただし、その範囲は非常に限定的であり、正確な知識を持っておくことが重要です。
ここでは、地方公務員でも申請なしで始められる可能性が高い活動について解説します。
株式投資や投資信託などの資産運用は事業でなければ許可不要です
株式投資や投資信託、FX、iDeCo、NISAといった資産運用は、一般的に「副業」ではなく「資産形成」の一環と見なされるため、許可申請は不要です。
これは、特定の業務を行うのではなく、自己の資産を運用しているに過ぎないからです。
ただし、これも度を超すと問題になる場合があります。
例えば、勤務時間中に頻繁にスマートフォンで株価をチェックして取引を繰り返すような行為は、職務専念義務に違反する可能性があるため、厳に慎まなければなりません。
あくまで、本業に支障のない範囲で行うことが大前提です。
フリマアプリで私用の不用品を販売する行為は副業にあたりません
自宅にある読まなくなった本や着なくなった服などを、フリマアプリの「メルカリ」やネットオークションの「ヤフオク!」などで販売する行為は、営利目的の事業とは見なされず、副業にはあたりません。
これは、あくまで個人の不用品を処分する行為だからです。
しかし、もし安く商品を仕入れてきて、利益を上乗せして転売する、いわゆる「せどり」のような行為を継続的に行うと、それは営利目的の事業と判断され、許可が必要な副業、あるいは禁止されている副業と見なされる可能性が高いため注意が必要です。
ポイントサイトの利用やアンケートモニターも基本的には問題ありません
「モッピー」や「ハピタス」といったポイントサイトを利用してポイントを貯めたり、簡単なアンケートに答えて少額の報酬を得たりする活動も、一般的には趣味の範囲と見なされ、副業許可は不要とされることが多いです。
得られる収益が非常に少額であり、社会的な信用を損なうような活動でもないためです。
ただし、これも度が過ぎて、年間所得が20万円を超えるような規模になってくると、確定申告が必要になり、その際に副業として認識される可能性もゼロではないため、節度を持って行うことが大切です。
地方公務員が副業許可を得るための具体的な申請手順を5ステップで解説
いざ副業を始めようと決意したら、次に行うべきは具体的な申請手続きです。
いきなり人事課に乗り込むのではなく、正しいステップを踏むことで、驚くほどスムーズに話を進めることができます。
ここでは、実際に副業の許可を得るための手順を、5つの具体的なステップに分けて詳しく解説していきます。
- ステップ1:信頼できる直属の上司に事前に相談する
- ステップ2:所属自治体の人事担当部署に必要書類や条件を確認する
- ステップ3:定められた様式の許可申請書を正確に作成する
- ステップ4:作成した申請書を所属長経由で人事担当部署に提出する
- ステップ5:審査結果の通知を待ち、許可が下りたら副業を開始する
ステップ1まずは信頼できる直属の上司に事前に相談する
正式な申請書を提出する前に、まず行うべきは直属の上司、例えば課長や係長に「実は、このような副業を考えているのですが…」と内々に相談することです。
いきなり申請書を突きつけると、上司も驚いてしまい、不信感を持たれたり、関係性がこじれたりする可能性があります。
事前に相談することで、上司も心の準備ができますし、あなたの考えや熱意を直接伝えることができます。
また、過去に同様の申請をした職員がいたかなど、有益な情報を得られるかもしれません。
ここで良好な関係を築き、味方になってもらうことが、その後の手続きを円滑に進める上で非常に重要です。
ステップ2所属自治体の人事担当部署に必要書類や条件を確認する
上司への相談と並行して、あなたがお勤めの市役所や町役場の人事課や総務課といった、職員の服務規律を管轄する部署に連絡を取りましょう。
その際、「副業の許可申請を検討しているのですが」と伝え、以下の点について具体的に確認します。
- 必要な申請書の様式はどこで手に入るか
- 提出にあたって添付すべき書類は何か(事業計画書、契約書の写しなど)
- その自治体独自のルールや許可基準はあるか
自治体によって申請書のフォーマットや細かいルールが異なる場合があるため、この事前確認は必須のプロセスです。
ステップ3定められた様式の許可申請書を正確に作成する
人事担当部署から入手した正式な申請書に、必要事項を記入していきます。
この申請書の書き方が、許可を得られるかどうかを左右する最も重要なポイントと言っても過言ではありません。
どのような副業を、どのくらいの時間、どのような形で行い、どの程度の収入が見込まれるのか、といった情報を具体的かつ正確に記載する必要があります。
次の章で詳しく解説しますが、いかに本業に支障がなく、公務員の信用を損なわないかを、説得力を持って説明することが求められます。
ステップ4作成した申請書を所属長経由で人事担当部署に提出する
完成した申請書は、通常、直属の所属長(課長など)の承認印をもらった上で、人事担当部署に提出するという流れになります。
ステップ1で事前に相談しておけば、この所属長の印をもらうプロセスもスムーズに進むはずです。
提出時には、申請書に書かれている内容について質問されることもあるため、自分の言葉でしっかりと説明できるように準備しておきましょう。
ステップ5審査結果の通知を待ち許可が下りたら副業を開始する
申請書を提出したら、あとは審査の結果を待つだけです。
審査には数週間から1ヶ月程度かかることが一般的です。
無事に「許可する」という通知書を受け取ったら、ようやく正式に副業を開始することができます。
絶対に、許可の通知が来る前にフライングで副業を始めてはいけません。
また、許可には「1年ごと」など期限が設けられている場合や、「状況に変化があれば再度報告すること」といった条件が付される場合があります。
許可証の内容をよく確認し、そこに書かれたルールを遵守することが大切です。
副業の許可申請書で説得力を高める重要な書き方のポイント
副業許可の申請は、いわば自分を売り込むプレゼンテーションです。
審査する人事担当者に「この職員に副業を許可しても、公務に全く問題ないし、むしろプラスになるかもしれない」と納得してもらう必要があります。
そのためには、申請書の書き方が極めて重要になります。
この章では、あなたの申請の説得力を格段に高めるための、書き方の具体的なポイントを解説します。
どのような副業なのかその内容を誰が読んでも分かるように具体的に書く
申請書の「副業の内容」欄は、審査する人がその副業について初めて知るという前提で、専門用語を使わずに具体的に書きましょう。
例えば、単に「ライター業」と書くのはNGです。
「自身の専門である社会福祉の知識を活かし、福祉関連のウェブメディアである『みんなの介護』に、月1本程度のペースで、依頼されたテーマの記事を執筆する」というように、媒体名や頻度、業務形態まで詳しく記載します。
これにより、審査する側も仕事のイメージが湧きやすく、リスクの判断がしやすくなります。
なぜその副業をしたいのかポジティブな動機や目的を明確に伝える
副業をしたい動機として、単に「生活費の足しにしたいから」と正直に書くのは得策ではありません。
もちろん収入は重要な目的ですが、それだけでは「本業がおろそかになるのでは」と懸念されかねません。
そうではなく、「自己の専門性を高め、その知見を地域社会に還元したい」「家業の維持に貢献し、高齢の家族を支えたい」といった、自己実現や社会貢献、地域貢献といったポジティブな動機を前面に出すことが重要です。
このような前向きな姿勢は、審査する側にも良い印象を与え、許可への追い風となります。
本業への支障が全くないことを勤務時間や業務内容から論理的に説明する
審査担当者が最も懸念するのは、本業への影響です。
そのため、「本業には一切支障がありません」と断言できる根拠を、具体的に示す必要があります。
例えば、「副業の活動は、土日の休日と平日の業務終了後の19時以降に限定し、1週間あたりの活動時間は合計10時間以内とします」「活動は在宅でのパソコン作業のみであり、肉体的な疲労は軽微です」といったように、活動する曜日や時間、場所、内容を具体的に記述することで、職務専念義務を侵害しないことを論理的にアピールできます。
副業がバレてしまうよくあるケースと地方公務員が受ける処分の具体例
正しい手順を踏まずに副業を始めてしまった場合、どのような経緯で発覚し、どんな処分が待っているのでしょうか。
「少しだけならバレないだろう」「みんなやっている」という甘い考えは非常に危険です。
ここでは、無許可の副業が発覚してしまう典型的なパターンと、実際に科される懲戒処分の内容について、具体的に解説します。
住民からの通報や同僚からの密告によって発覚するケース
最も多い発覚ルートの一つが、第三者からの通報です。
例えば、あなたが夜間に飲食店でアルバイトをしている姿を、顔見知りの住民が目撃し、「あの職員さん、夜に居酒屋で働いているけど大丈夫なのか?」と役所に電話一本入れるケースです。
また、つい口が滑って同僚に副業の話を漏らしてしまった結果、その同僚が上司に報告して発覚に至ることもあります。
人の口に戸は立てられません。
公務員という立場は、あなたが思う以上に多くの目で見られているという意識を持つことが重要です。
副業収入の確定申告から住民税の金額が変わり発覚するケース
副業による所得が年間20万円を超えた場合、確定申告をする義務があります。
確定申告をすると、その情報が税務署からあなたが住む市区町村の税務担当課に通知され、それに基づいて翌年の住民税の金額が決定されます。
ここで、会社の給与から天引きされる住民税(特別徴収)の額が、同じくらいの給与のはずの同僚と比べて不自然に高いと、給与計算をする経理担当者や人事担当者に「他に収入があるのではないか?」と気づかれるきっかけになります。
これが「住民税バレ」と呼ばれるもので、税金の手続きから副業が発覚する典型的なパターンです。
SNSでの発信やインターネット上での活動から発覚するケース
最近特に増えているのが、SNSでの何気ない発信が原因でバレるケースです。
例えば、副業で作った商品をインスタグラムで紹介したり、副業の活動についてブログで発信したりした内容を、同僚や住民に見られてしまうのです。
匿名でやっているつもりでも、写真に写り込んだ風景や何気ない文章の癖、他のSNSとの繋がりから、驚くほど簡単に個人が特定されてしまうことは少なくありません。
インターネット上に公開した情報は、自分でもコントロールできない範囲に拡散するリスクがあることを、肝に銘じておく必要があります。
発覚した場合の処分は戒告や減給から重い場合は免職まである
無許可の副業が発覚した場合に下される懲戒処分は、その悪質性や本業への影響度合いによって決まります。
軽い順に並べると、以下のようになります。
- 戒告:文書で厳重注意を受け、人事評価に記録が残ります。昇給や昇進に響く可能性があります。
- 減給:給料が一定期間(例:3ヶ月間、給料の10分の1を減額など)カットされます。
- 停職:数ヶ月間出勤停止となり、その間の給与は一切支払われません。復職も難しくなることがあります。
- 懲戒免職:最も重い処分で、いわゆるクビです。退職金も支払われないケースが多く、公務員としてのキャリアが完全に絶たれます。
「少しの副収入」のために、これほど大きなリスクを負うのは賢明ではありません。
これから副業を始める地方公務員におすすめの許可を得やすい仕事
ここまでの解説を踏まえ、これから副業を始めたいと考える地方公務員の方に向けて、比較的、許可を得やすいと考えられる仕事のジャンルをいくつかご紹介します。
これらの仕事に共通するのは、「公益性」「専門性」「非営利性」といった、公務員の副業で重視される要素を含んでいる点です。
地域貢献につながるNPO法人の活動や団体の役員
営利を目的としないNPO法人や、地域のまちづくり団体、消防団、スポーツ少年団のコーチといった公共性の高い団体での活動は、副業として許可されやすい代表例です。
これらの活動は、地域社会への貢献という側面が強く、公務員の仕事とも親和性が高いため、人事課からも理解を得やすいでしょう。
役員として活動する場合でも、無報酬あるいは交通費程度の実費支給であれば問題なく、仮に役員報酬が出る場合でも、社会通念上、妥当な金額であれば許可される可能性は高いです。
クラウドソーシングサイトで専門知識を活かすウェブライター
先ほどの事例でも紹介しましたが、自身の専門知識を活かしたウェブライターの仕事もおすすめです。
例えば、IT系の部署にいるならIT関連の解説記事、土木課ならインフラに関する記事など、本業で得た知見を活かすことができます。
この場合、「クラウドワークス」や「ランサーズ」といったクラウドソーシングサイトに登録し、単発の仕事を受注する形であれば、特定の企業との継続的な雇用関係にならないため、許可のハードルは比較的低いと言えます。
ただし、守秘義務にだけは細心の注意を払い、職務上知り得た情報を漏らさないことが絶対条件です。
小規模な太陽光発電投資や相続した不動産の賃貸経営
資産運用に近い形の副業も、規模が大きくなければ許可の対象となります。
例えば、自宅の屋根に設置した太陽光パネルで発電した電気の余剰分を電力会社に売る「太陽光発電投資」は、出力が10kW未満など、一定の基準以下であれば許可されるケースが多いです。
また、親から相続したアパートや駐車場を貸し出すといった不動産賃貸経営も、前述の通り「5棟10室」などの事業的規模でなければ、資産管理の一環として認められやすい副業です。
最後に確認すべきは各自治体が独自に定める条例や内部ルール
これまで地方公務員の副業に関する一般的なルールや事例を解説してきましたが、最後に一つ、非常に重要な注意点があります。
それは、副業に関する最終的な判断基準は、国が定める法律だけでなく、あなたが所属する都道府県や市区町村が独自に定めている「条例」や「人事規則」によって異なる、ということです。
副業の許可基準は全国一律ではなく自治体ごとに細かく異なる
地方公務員法という大きな枠組みは全国共通ですが、その運用方法や解釈、具体的な許可基準の細部は、各地方自治体の裁量に委ねられています。
例えば、不動産投資の事業規模の基準が、国の基準を参考にしつつも、ある市では「家賃収入400万円以上」と厳しく定められているかもしれません。
また、A市ではウェブライターの許可事例が豊富でも、B市では前例がなく、より慎重な審査が行われる、ということも十分にあり得ます。
申請を検討する際は必ず自分の自治体の人事担当部署に確認を
したがって、この記事やインターネット上の情報を鵜呑みにするのではなく、最終的には必ずご自身が所属する自治体の人事課や総務課に直接確認することが不可欠です。
そこで、「うちの自治体では、どのような副業が許可されていますか?」「申請に必要な書類と、判断の基準を教えてください」と具体的に質問することで、最も正確で確実な情報を得ることができます。
この一手間を惜しまないことが、あなたの副業成功への一番の近道となります。
許可を得た後も収入や活動状況の変更があれば報告が必要です
無事に副業の許可が下りた後も、それで終わりではありません。
多くの自治体では、年に一度の更新手続きを求められたり、副業の活動状況や収入に大きな変化があった場合には、その都度報告するよう義務付けています。
例えば、当初の申請よりも収入が大幅に増えた場合や、活動時間が長くなった場合などは、速やかに報告する必要があります。
許可された条件を誠実に守り続けることが、信頼を維持し、安心して副業を続けるための鍵となります。
まとめ:地方公務員の副業は正しい知識と誠実な申請で実現可能です
今回は、地方公務員の副業について、許可の範囲から申請方法、具体的な事例までを詳しく解説してきました。
最後に、この記事の重要なポイントを振り返り、あなたの新しい一歩を後押しします。
副業成功の鍵は自己判断せず正式な許可申請を行うことです
地方公務員の副業において最も重要なことは、絶対に自己判断で行動しない、ということです。
法律や規則で定められた「許可申請」という正式な手続きを誠実に踏むことが、あなた自身のキャリアと信用を守る唯一の方法です。
一見、遠回りに見えるかもしれませんが、この正規のルートこそが、結果的に安心して副業を続けるための最短ルートなのです。
本業に支障なく公益性のある副業が許可されやすい傾向にあります
どのような副業が許可されやすいかを考える際には、「本業への支障がないこと」「公務員の信用を損なわないこと」「社会貢献や自己の専門性向上につながること」という三つの視点を持つことが大切です。
これらの条件を満たす副業であれば、審査する側も許可を出しやすくなります。
あなたのやりたいことが、どのように公務員の仕事や地域社会にプラスの影響を与えるかを、ぜひ考えてみてください。
まずは信頼できる上司への相談から第一歩を踏み出してみましょう
この記事を読んで、副業への道筋が少しでも明確になったでしょうか。
もし、あなたが本気で副業を始めたいと考えるなら、最初の一歩は、この記事の内容を参考に、信頼できる上司に相談してみることです。
あなたの熱意と誠実な姿勢が伝われば、きっと道は開けるはずです。
規則を正しく理解し、決められた手順を踏むことで、公務員の仕事と両立しながら、あなたの可能性を広げる新しいキャリアを築いていってください。
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