インスタグラムを眺めていると、理想のライフスタイルを実現しているように見える人から「あなたも私みたいになれる」「人生を変えるチャンス」といった、魅力的なコーチングの勧誘メッセージが届くことがあります。
その場の雰囲気や巧みなセールストークに乗せられて高額な契約書にサインしてしまった後で、「本当にこの契約は正しかったのだろうか…」「もしかして、かなり怪しいものに手を出してしまったのでは?」と、後悔と不安に苛まれていませんか。
この記事は、まさにそんな状況に陥り、どうしていいか分からず一人で悩んでいるあなたのためのものです。
大丈夫です、まだ諦めるのは早すぎます。
この記事を最後まで読めば、契約を解約し、支払ってしまったお金を取り戻すための具体的な方法が分かり、今すぐ何をすべきかが明確になります。
一人で抱え込まず、まずはこの記事を読んで冷静に最初の一歩を踏み出しましょう。
まず結論から!インスタで高額なコーチング契約をしてしまった場合の解決策はあります
「あんなに高額な契約をしてしまったんだから、もう手遅れだ…」と絶望的な気持ちになっているかもしれません。
しかし、諦めて泣き寝入りするのは絶対にやめてください。
実は、契約後の状況や勧誘の方法によっては、法的に契約を無かったことにしたり、支払ったお金を取り戻したりできる可能性が残されています。
この章では、あなたが今すぐ知るべき解決策の全体像を具体的にお伝えします。
希望を捨てずに、どのような選択肢があるのかを正確に把握することから始めましょう。
クーリングオフ制度がインスタのコーチング契約に適用される可能性について詳しく解説します
高額な契約で後悔した際に、消費者を守るための最も強力な武器となるのが「クーリングオフ」制度です。
これは、訪問販売や電話勧誘など、不意打ち的な勧誘によって冷静な判断ができないまま契約してしまった消費者を保護するため、一定期間内であれば理由を問わず無条件で契約を解除できるという、法律で定められた権利です。
インスタのコーチング契約であっても、例えば「詳しい話が聞きたい」と伝えたところ事業者のオフィスやカフェに呼び出されて契約した場合、これは「特定商取引法」で定められた「訪問販売」に該当する可能性があり、契約書面を受け取った日から8日以内であればクーリングオフが適用されることがあります。
諦める前に、ご自身の契約がこの制度の対象にならないか、契約書や勧誘時の状況をもう一度詳しく思い出して確認することが、解決への最初の重要なステップになります。
もしクーリングオフ期間が過ぎていても中途解約や返金交渉という選択肢が残されています
「もう契約してから8日以上経ってしまった…」とがっかりした方、まだ望みはあります。
クーリングオフの期間が過ぎていたとしても、すべての道が閉ざされたわけではありません。
まずは契約書をよく見て、中途解約に関する条項が記載されているかを確認しましょう。
また、もし勧誘の際に「絶対に稼げるようになる」「このノウハウがあれば誰でも成功する」といった事実と異なる説明(不実告知)や、将来が不確実なことについて断定的な説明(断定的判断の提供)があった場合、これは「消費者契約法」に基づいて契約そのものを取り消せる可能性があります。
事業者に対して、契約内容の不備や勧誘時の問題点を具体的に指摘し、返金を求める交渉を行うという道が残されているのです。
今後の交渉のために証拠保全が最重要!契約書やインスタでのやり取りの記録をすべて残しましょう
これから解約や返金の交渉を有利に進める上で、何よりも大切になるのが客観的な「証拠」です。
感情的に「騙された!」と訴えても、相手は取り合ってくれない可能性が高いです。
以下の様な記録は、どんな些細なものでも全て保存してください。
保全すべき証拠の具体例
- インスタのダイレクトメッセージ(DM)での勧誘から契約に至るまでの全てのやり取りのスクリーンショット
- LINEや他のSNSでの会話記録のスクリーンショット
- 交わした契約書(電子契約の場合はPDFファイル)
- 支払いを証明するクレジットカードの利用明細や銀行の振込記録
- 勧誘時の会話の録音データ(もしあれば非常に強力です)
- コーチングの内容や約束事が書かれたパンフレットやウェブサイトのスクリーンショット
特に、「誰でも月収100万円になれる」「このコーチングさえ受ければ人生が変わる」といった相手方の過剰なセールストークが記録として残っていれば、それが虚偽または大げさな勧誘であったことを証明する強力な武器になります。
客観的な証拠をもとに冷静に交渉を進める準備をしましょう。
具体的なステップで解説!インスタの高額コーチング契約を解約するための完全手順
不安と怒りで頭がいっぱいかもしれませんが、感情的に行動しても事態は好転しません。
ここからは、インスタで見つけた怪しい高額コーチング契約を実際に解約するために、どのような手順を踏めばよいのかを具体的なステップに分けて解説します。
この通りに進めることで、冷静かつ着実に問題解決へ向かうことができます。
ステップ1 まずは契約書の内容を隅から隅まで正確に確認する作業から始めましょう
行動を起こす前に、まずは敵(契約内容)を知ることから始めます。
手元にある契約書を、虫眼鏡で見るくらいのつもりで徹底的に読み込んでください。
特に以下の項目は、あなたの今後の交渉の行方を左右する重要なポイントです。
- サービス内容:具体的にどのようなサービスが、どのくらいの期間、何回提供されるのか。
- 料金総額と支払い方法:一括払いか、分割払いか。クレジットカードか、銀行振込か。
- 契約期間:いつからいつまでの契約なのか。
- 解約・返金に関する条項:ここが最重要です。どのような場合に解約が認められ、その際に違約金や手数料はいくら発生するのか。返金は可能なのか。
- クーリングオフに関する記載:クーリングオフが適用されるかどうかの記載があるか。
相手の「大丈夫ですよ」という口約束を鵜呑みにせず、契約書という公式な書類に何が書かれているのかを自分の目で正確に把握することが、全ての交渉の出発点となります。
ステップ2 クーリングオフ期間内であれば内容証明郵便で解約の通知書を送付します
もしご自身の契約がクーリングオフの対象であり、まだ期間内であると判断できた場合は、一刻も早く行動に移しましょう。
この際、電話やメール、普通のハガキで通知するのではなく、必ず「内容証明郵便」を利用してください。
内容証明郵便とは、「いつ、誰が、どのような内容の文書を、誰に送ったのか」を郵便局が公的に証明してくれるサービスです。
これにより、「解約の通知は受け取っていない」「そんな内容は聞いていない」といった相手からの言い逃れを完全に防ぐことができ、法的な証拠として極めて有効になります。
書き方が分からなければ、国民生活センターのウェブサイトなどにも雛形がありますので参考にしましょう。
ステップ3 クーリングオフ期間外でも事業者に対して解約の意思を明確に書面で伝えましょう
クーリングオフ期間を過ぎてしまった場合でも、諦めてはいけません。
解約したいというあなたの意思は、必ず記録に残る形で相手に伝えることが重要です。
この場合も、口頭ではなく書面で通知しましょう。
書面には、解約したいという明確な意思に加え、その理由を具体的に記載します。
例えば、「『いつでもペナルティなしで解約できる』と口頭で説明されたのに、契約書には高額な違約金が記載されているのは説明と異なり不当だ」といった具体的な主張を盛り込むとより効果的です。
この場合も、普通郵便ではなく、少なくとも配達記録が残る「特定記録郵便」や「レターパック」などで送付することが望ましいです。
ステップ4 当事者間での交渉が難航した場合は速やかに専門機関へ相談することを検討します
事業者側が「契約書にサインした以上、解約も返金も一切認めない」と突っぱねてきたり、高圧的な態度で言いくるめようとしてきたりするなど、当事者同士での話し合いが難しいと感じた場合、絶対に一人で抱え込まないでください。
すぐに第三者の力を借りる決断をしましょう。
後ほど詳しく解説しますが、国民生活センター(消費生活センター)や法テラスといった公的な専門機関は、まさにこのような消費者トラブルを解決するために存在します。
法律の専門家が間に入ることで、それまで頑なだった相手方の態度が軟化し、交渉が一気に進展するケースも少なくありません。
なぜ人は怪しいと感じるのか?インスタで急増している高額コーチングの共通する特徴
あなたが「このコーチング、何かおかしいかも…」と感じたその直感は、おそらく正しいでしょう。
インスタグラム上で見られる多くの高額コーチング案件には、いくつかの共通した手口や特徴が存在します。
ここでは、多くの人が「怪しい」と感じる具体的なポイントを解き明かし、その手口を明らかにしていきます。
これを知ることで、ご自身の状況を客観的に見つめ直す助けになります。
「誰でも簡単に」「初月で月収7桁」といったあまりにも甘い言葉で巧みに誘う手口
怪しいコーチングの最も典型的で分かりやすい特徴は、努力や才能、経験の有無に関係なく、誰でも簡単に大きな成功を掴めるかのような過剰な表現を多用する点です。
例えば、以下のようなキャッチコピーには要注意です。
- 「未経験からたった3ヶ月で月収100万円を達成した方法」
- 「スマホ1台で場所に縛られない自由な生活を手に入れる」
- 「あなたも人気インスタグラマーになって稼げる」
しかし、現実の世界では、どのような分野であれ、簡単かつ楽に、短期間で大きな成果を得ることは不可能です。
このような非現実的な約束は、人の「楽して稼ぎたい」「今の苦しい状況から抜け出したい」という弱みや願望に付け込む、非常に巧妙な手口と言えます。
コーチの実績や経歴が非常に曖昧で抽象的な成功体験ばかりを語っている
そのコーチが「どのようにして成功したのか」という具体的なプロセスや、客観的に証明できる実績が示されず、「マインドが変わったから」「潜在意識を書き換えたら」「宇宙の法則に気づいたから」といった抽象的な精神論ばかりを語る場合も注意が必要です。
本当に実力のあるコーチであれば、過去に手がけたクライアントの具体的な成功事例(※個人の感想です、ではないもの)や、自身の経歴を証明する資格、第三者機関からの評価、メディア掲載歴などを明確に提示できるはずです。
高級ホテルでのランチやブランド品、海外旅行といったキラキラした私生活の投稿ばかりを見せつけて、具体的な実績を示さないコーチの案件は、その中身が伴っていない可能性が極めて高いと疑うべきです。
高額な契約を即決させようと「今だけ」「あなただけ」といった言葉で利用者の不安を煽るセールストーク
「このセミナー参加者だけの特別価格です!」
「あと2名で募集は締め切ります!」
「今日中に契約すれば、通常50万円のところを30万円にします!」
このように、「限定」「特別」「緊急」といった言葉で契約を異常に急がせるのは、悪質な業者が好んで使う常套手段です。
これは、相手に冷静に比較検討する時間を与えず、その場の高揚感や「このチャンスを逃したら損をする」という焦り(FOMO: Fear of Missing Out)を利用して高額な契約を結ばせるための、計算された心理的なテクニックなのです。
本当に価値があり、顧客のためを思うサービスであれば、顧客がじっくりと検討する時間を惜しむはずがありません。
むしろ、即決を迫ってくること自体が、そのサービスが怪しいという何よりの証拠なのです。
インスタで高額コーチングを契約してしまった人が陥りがちな心理状態とは
高額な契約をしてしまった後悔と共に、多くの人が特有の心理状態に陥り、自分を責めてしまいます。
なぜあの時、あんなに高額な契約をしてしまったのか。
この章では、契約時にどのような心理が働いていたのかを振り返り、自分自身の状態を客観的に理解することで、冷静さを取り戻す手助けをします。
「このチャンスを逃したらもう二度と成功できない」という強い焦りや不安感
巧みなセールストークは、人の「今の辛い状況をなんとか変えたい」という強い願望や、「周りの人たちから取り残されたくない」という根源的な焦燥感を巧みに刺激します。
特に「限定」「あなただけに」という言葉を囁かれると、「今このチャンスを掴まなければ、自分は一生このまま変われないのではないか」という恐怖心にも似た感情が芽生え、正常な判断力を奪ってしまいます。
この心理状態が、月収の何倍もするような高額な契約書であっても、その場でサインをしてしまう大きな原因となるのです。
「これは未来への自己投資だから」という魔法の言葉で高額な契約を正当化してしまう心理
「自己投資」という言葉は、本来、学びや成長に対して非常にポジティブなイメージを持っています。
しかし、怪しいコーチングの勧誘では、この言葉が数十万円から百万円以上もの高額な支払いを正当化するための便利な言い訳として悪用されることがあります。
本来、投資にはリスクが伴い、その対価として得られるリターン(本当にスキルが身につくのか、再現性はあるのかなど)を冷静に見極める必要があります。
しかし、熱心な勧誘の中で「これは未来の自分への投資なんだ」と思い込むことで、高額な料金に対する金銭感覚や抵抗感を麻痺させてしまうのです。
支払ってしまった大きなお金はもう取り戻せないだろうという諦めの気持ち
一度に数十万円という大金を支払ってしまうと、「これだけの大金を払ったのだから、何とかして元を取りたい」という気持ちと同時に、「もう戻ってくるはずがない」という強い諦めの気持ち(絶望感)が生まれることがあります。
この「サンクコスト効果(埋没費用効果)」と呼ばれる心理が働き、「今さら解約を申し出るのは面倒だ」「相手と揉めて嫌な思いをしたくない」と考え、行動を起こす前に泣き寝入りしてしまうケースが後を絶ちません。
しかし、これまで述べてきた通り、諦めずに正しい手順で行動を起こせば、支払ったお金を取り戻せる可能性は十分に残されています。
契約してしまった後でも絶対に一人で悩まないで!相談できる公的な専門機関一覧
事業者との直接交渉がうまくいかない時や、法律の知識がなくてどうすれば良いか途方に暮れてしまった時、あなたは決して一人ではありません。
日本には、消費者を悪質な契約トラブルから守るための、公的で信頼できる相談窓口がいくつも存在します。
これらの機関をうまく利用することが、問題解決への大きな一歩となります。
全国どこからでも相談可能!最寄りの消費生活センターや国民生活センターの利用方法
消費者トラブルに関する最初の相談先として最も推奨されるのが、お住まいの地域の市区町村に設置されている「消費生活センター」です。
どこに相談すれば良いか分からない場合は、局番なしの電話番号「188(いやや!)」にかけることで、最寄りの相談窓口を案内してもらえます。
専門の相談員が、あなたの契約状況(いつ、どこで、誰と、どのような契約をしたか)を詳しくヒアリングし、クーリングオフの方法や事業者との交渉の進め方について、無料で具体的なアドバイスをしてくれます。
必要であれば、事業者に直接連絡を取って、あっせん(話し合いの仲介)をしてくれることもあります。
中立的な立場から問題解決を手伝ってくれる、非常に心強い存在です。
法的なトラブルに発展しそうな場合に頼れる日本司法支援センター法テラスの活用術
事業者との交渉が決裂し、裁判なども視野に入れなければならない法的なトラブルに発展しそうな場合は、「法テラス(日本司法支援センター)」に相談するのが良いでしょう。
法テラスは、国によって設立された公的な法人で、経済的な理由で弁護士などへの相談が難しい人でも、法的トラブル解決への道筋を案内してくれます。
収入などの条件を満たせば、同じ問題について3回まで無料の法律相談を受けられたり、必要に応じて弁護士・司法書士費用の立替え制度を利用できたりします。
インスタのコーチング契約が詐欺的であるなど、悪質性が高く法的な対抗手段が必要な場合は、このような専門機関の存在を知っておくことが非常に重要です。
最終手段として弁護士への相談も視野に入れるべき具体的なケースとは
被害額が100万円を超えるなど非常に高額である場合や、事業者の対応が極めて悪質で脅迫まがいの言動があるなど、消費生活センターのあっせんだけでは解決が困難なケースでは、弁護士に直接依頼することも有効な選択肢となります。
弁護士に依頼すると費用がかかりますが、弁護士の名前で内容証明郵便(通知書)を送るだけでも、相手方が交渉に応じる態度は劇的に変わることが多いです。
特に、詐欺罪や特定商取引法違反などを根拠に損害賠償請求を行うといった、より専門的な法的手続きが必要な場合には、法律のプロである弁護士の力が不可欠です。
初回相談を無料で受け付けている法律事務所も多いため、まずは状況を説明し、依頼した場合の見通しや費用について聞いてみるだけでも価値は十分にあります。
クーリングオフは本当に適用される?インスタの怪しいコーチング契約の法的側面を深掘り
「私のこの契約、本当にクーリングオフできるの?」これは多くの人が抱く最大の疑問です。
ここでは、インスタで見かける高額コーチング契約が、どのような法律に基づいて判断されるのか、その法的側面を少し詳しく、分かりやすく解説します。
法律の知識は、あなたを不当な契約から守るための強力な盾となります。
特定商取引法における業務提供誘引販売取引に該当するかどうかが一つの大きなポイントです
インスタのコーチング契約の中には、「このコーチングを受ければ、あなたもコーチとして活動し、収入を得られるようになりますよ」といった形で、仕事を提供することを匂わせて勧誘するケースがあります。
これは「業務提供誘引販売取引」と呼ばれるものに該当する可能性があり、その場合、特定商取引法が適用され、クーリングオフ期間が通常の8日間ではなく20日間と定められています。
契約の目的が、単なる自己啓発(例:マインドセットの学習)だけでなく、「このノウハウを使って収益を得る」という仕事の提供がセットになっていたかどうかが、判断の重要な分かれ目となります。
契約した場所や勧誘された方法によってクーリングオフの適用可否が変わるという注意点
クーリングオフ制度が適用されるかどうかは、契約を結んだ場所も非常に重要な要素です。
特定商取引法では、消費者が冷静に判断できない状況での契約を想定しています。
例えば、以下のような場所での契約は「訪問販売」と見なされ、クーリングオフの対象となる可能性が高まります。
訪問販売と見なされやすい場所 | 事業者の店舗や営業所以外の場所(自宅、勤務先、カフェ、ホテルのラウンジ、レンタルスペースなど) |
電話勧誘販売と見なされやすい方法 | 事業者からの電話や、Zoomなどのオンラインビデオ通話で勧誘され、その場で契約に至った場合 |
逆に、自分から事業者のウェブサイトを見て、他者からの勧誘を受けることなく、自らの意思で申し込みフォームに記入して契約した「通信販売」の場合、原則としてクーリングオフ制度は適用されないため注意が必要です。
期間が過ぎていても諦めないで!不当な条項を無効にできる消費者契約法という武器
たとえクーリングオフの期間が過ぎていても、最後の砦となるのが「消費者契約法」です。
この法律は、情報量や交渉力で圧倒的に不利な立場にある消費者と、事業者との間の格差を是正するためのものです。
例えば、事業者が以下のような不当な勧誘行為をしていた場合、消費者は後から契約を取り消すことができます。
- 不実告知:重要な事実について、嘘の説明をする。(例:「この資格は国家資格です」と嘘をつく)
- 断定的判断の提供:将来の変動が不確実な事柄について、「絶対に儲かる」「100%成功する」と断定的に説明する。
- 不利益事実の不告知:消費者に不利になる重要な事実を、わざと伝えない。(例:高額な解約金がかかることを隠す)
また、「いかなる理由があっても返金には応じません」といった消費者の利益を一方的に害する条項(不当条項)は、消費者契約法によって無効と判断される可能性があります。
実際にあった!インスタで見かける怪しい高額コーチングの具体的な勧誘事例
ここでは、実際に国民生活センターなどにも報告されている、インスタグラムでの怪しいコーチングの具体的な勧誘事例をいくつか紹介します。
具体的な手口を知ることで、あなたが経験した状況と照らし合わせ、その問題点をより明確に認識することができるでしょう。
多くの事例には、これから紹介する共通のパターンが見られます。
インスタのダイレクトメッセージから始まる個別相談からの高額契約という王道パターン
最も多く、典型的なのがこのパターンです。
まず、あなたの投稿に「いいね」や「素敵な投稿ですね!」といったコメントをした後、丁寧な言葉遣いのダイレクトメッセージ(DM)が届きます。
最初は当たり障りのない雑談から始まり、徐々にあなたの悩みや将来の夢、現在の不満などを巧みに聞き出し、「その悩み、私なら解決できるかもしれません」「もしよかったら一度、無料でお話聞きませんか?」と無料相談や個別セッションに誘導します。
そして、Zoomなどの一対一のクローズドな空間で、巧みな話術であなたの自己肯定感を下げたり、逆に過剰に持ち上げたりして感情を揺さぶり、その日のうちに「今日だけの価格」などと言って数十万円の高額なコーチング契約を結ばせるのです。
無料のオンラインセミナーや有益そうな情報発信から有料コーチングへ誘導する巧妙な手口
一見すると、有益なノウハウを無料で発信しているように見える、親切なアカウントにも注意が必要です。
例えば、「インスタ集客の秘訣」「成功者のマインドセット」などをテーマにした無料のオンラインセミナーを開催したり、LINE公式アカウントへの登録を促したりします。
参加者はそこで部分的に有益な情報を得られたと感じ、発信者に対して「この人は本物だ」という信頼感や尊敬の念を抱きます。
その信頼関係を土台にして、セミナーの最後に「今日お話ししたのは全体のほんの一部です」「この続きは、本気の人だけに個別コーチングでお伝えします」と、さらに高額なバックエンド商品(本命商品)を販売するのが常套手段です。
自分が憧れているインフルエンサーからの紹介という形で信用させてしまうという罠
あなたがフォローしている憧れのインフルエンサーが、「この〇〇さんのコーチングを受けて、私の人生は劇的に変わりました!」とストーリーや投稿で紹介しているのを見て、「あの人が言うなら間違いない」と信じ込んでしまうケースもあります。
しかし、中にはそれが広告案件(アフィリエイト)であり、インフルエンサー自身はサービスの内容を深く理解していなかったり、高額な紹介料目当てであったりする可能性も否定できません。
第三者の推薦という形をとることで、サービスの信頼性を偽装し、フォロワーの警戒心を解いて高額な契約へと誘導する、非常に巧妙で悪質な手口と言えます。
二度と繰り返さない!怪しい高額コーチング契約を未然に防ぐための賢い見極め方
今回のつらく、悔しい経験を無駄にしないためにも、今後は怪しい契約に引っかからないための知識と防衛策を身につけることが何よりも大切です。
この章では、高額なコーチング契約を結ぶ前に、その案件が信頼できるものかどうかを冷静に見極めるための、具体的なチェックポイントをお伝えします。
事業者の情報が明確かウェブサイトの特定商取引法に基づく表記を必ず確認する習慣をつけましょう
信頼できる事業者であれば、必ず自社のウェブサイトなどに「特定商取引法に基づく表記」を掲載する義務があります。
契約を検討する前に、まずこの表記が存在するか、そしてその情報が正確かどうかを確認する癖をつけましょう。
最低でも、以下の項目が明記されているかチェックしてください。
「特定商取引法に基づく表記」のチェック項目
- 事業者の正式名称(個人事業主の場合は氏名)
- 事業者の住所(番地まで正確に記載されているか)
- 事業者の電話番号(携帯電話番号だけでなく、固定電話の番号があるとより安心)
- 代表者名または業務責任者名
- 販売価格、支払い方法、商品の引渡し時期
- 返品・解約に関する条件
この表記がない、情報が不十分(住所がバーチャルオフィスなど)、あるいは頻繁に名称や住所が変わっている場合は、何かを隠している可能性があり、極めて怪しい兆候です。
契約を異常に急かされたりその場で決断を迫られたりしたら一度持ち帰る勇気を持つことが大切です
「今日だけ」「今すぐ」「このチャンスは二度とない」といった言葉で決断を迫られたら、それは100%危険なサインだと認識してください。
本当にあなたのためを思う誠実なサービス提供者であれば、あなたが納得するまでじっくり考える時間を与えてくれるはずです。
その場で契約を迫られた場合は、「高額な契約なので、一度持ち帰って冷静に検討します」「家族(あるいはパートナー)に相談してからでないと決められません」とはっきりと伝え、その場を離れる勇気を持ってください。
もし、それでも「今決められないなら本気じゃない」「成功する人は即決しますよ」などと言ってしつこく引き留めようとするのであれば、その案件は間違いなく避けるべきです。
良い口コミや評判をSNSだけでなく複数の客観的な情報源から多角的に調べる重要性
SNS上の「お客様の声」やキラキラした口コミは、事業者が意図的に良いものだけを選んで掲載している「サクラ」や「自作自演」の可能性があります。
そのため、インスタやそのコーチのウェブサイトの情報だけを鵜呑みにするのは非常に危険です。
GoogleやYahoo!などで「(コーチ名) 評判」「(サービス名) 怪しい」「(サービス名) 返金」といった、少しネガティブなキーワードを組み合わせて検索し、個人のブログやX(旧Twitter)、掲示板など、より中立的な立場からの情報を探すことが重要です。
複数の情報源から多角的に調べることで、より客観的で冷静な判断が可能になります。
もしインスタのコーチング契約を続けるという選択をする場合でも注意すべきポイント
様々な検討の結果、「やはりこのコーチングを信じてみたい」と、解約はせずに契約を継続するという判断をすることもあるかもしれません。
その場合でも、今後さらなる金銭トラブルや精神的なダメージを負わないために、注意すべき点があります。
ここでは、契約を続ける上で心に留めておくべきポイントを解説します。
提供されているサービスの内容が契約書に書かれている内容と一致しているか常に確認しましょう
契約を続けるのであれば、提供されるサービスが契約書に記載された内容と相違ないかを常にチェックする姿勢が重要です。
例えば、「週1回60分の個別セッション」と書かれているのに実際には月2回しか行われない、あるいは「専用の動画教材を全て提供する」とあるのに一部しか提供されないといった場合は、明らかな契約不履行(債務不履行)にあたります。
おかしいと感じたら、その都度、事業者に書面やメールで確認し、やり取りを記録に残しておくことが、将来的なトラブルを防ぐ上で役立ちます。
追加でさらに高額なバックエンド商品の契約を勧められた際の賢い断り方を知っておきましょう
一つのコーチング契約が終わる頃を見計らって、「さらに上のステージに行くためには、この上級コース(50万円)が必要です」「マスターマインドコース(100万円)に進みましょう」といった形で、さらに高額なバックエンド商品を勧められるケースは非常に多いです。
一度契約していると、関係性ができているため断りにくい心理が働きますが、そこで流されてはいけません。
「今回は見送らせていただきます」「まずは今のコースの内容を完璧に自分のものにしたいので、結構です」と明確に、かつ毅然とした態度で断る意思表示が大切です。
曖昧な返事をすると、「あなたのためを思って言っているのに」などと、しつこく勧誘され続ける可能性があります。
コーチングの進捗や目標達成度などを客観的な形で記録しておくことのメリット
コーチングを受ける中で、どのような指導を受け、自分がどのように変化したのか、あるいはしなかったのかを、日記やノートに客観的に記録しておくことを強くお勧めします。
これは、万が一「全く効果がなかった」「言われた通りにやったのに成果が出ない」として後から解約や返金を求める際に、サービス内容が価格に見合っていなかったことを示す証拠となり得ます。
また、感情的にならず、自分自身の成長(あるいは停滞)を客観的に振り返るための貴重な資料にもなります。
「言った・言わない」の水掛け論を防ぐためにも、記録は重要です。
まとめ:インスタの怪しい高額コーチング契約で泣き寝入りしないために
ここまで、インスタの怪しい高額コーチングを契約してしまった場合の具体的な対処法から、今後のための予防策まで詳しく解説してきました。
最後に、あなたがこれから取るべき行動と心構えについて、最も重要なポイントを改めてお伝えします。
高額な契約をしてしまった後でも焦らずに冷静に行動することが何よりも大切です
契約してしまった直後は、後悔と不安、自分への怒りでパニック状態になってしまうかもしれません。
しかし、そんな時こそ一度深呼吸をして、冷静になることが問題解決の第一歩です。
この記事で紹介したように、まずは契約書を隅々まで確認し、証拠を保全し、決められた手順に沿って行動を起こせば、解決の道は必ず開けます。
感情的な行動は避け、事実に基づいて着実に対応を進めていきましょう。
あなたは一人ではありません!ひとりで悩まずに公的な相談窓口を積極的に利用しましょう
事業者との交渉は、精神的にも時間的にも大きな負担がかかります。
どうか、自分一人で抱え込まないでください。
国民生活センター(消費生活センター)や法テラスといった公的な機関は、まさにあなたのような消費者のトラブルを救済するために存在しています。
無料で専門的なアドバイスを受けられるこれらの機関を最大限に活用することが、問題解決への一番の近道です。
このつらい経験を糧にしてこれからの賢い情報選択にしっかりと役立てていきましょう
今回の経験は、非常につらく、あまりにも高い授業料だったと感じていることでしょう。
しかし、この経験から学べることは、お金には代えがたいほどたくさんあります。
うまい話の裏側を見抜く洞察力、契約の前に一度立ち止まって冷静に判断する重要性、そして万が一トラブルに陥った時の具体的な対処法。
この学びを今後の人生に活かせば、二度と同じ過ちを繰り返すことはないはずです。
どうか自分を責めすぎず、この経験を乗り越え、より賢明な消費者として次の一歩を踏み出してください。
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