「地方公務員でも副業ってできるようになったって本当?」「私の市役所では、いつから解禁されるんだろう?」そんな疑問や期待をお持ちの現役地方公務員の方も多いのではないでしょうか。
近年、国全体の働き方改革の流れを受けて、かつては鉄壁だと思われていた地方公務員の副業に関するルールも、大きな変革期を迎えています。
この記事では、法律や条例の難しい専門用語を一切使わず、地方公務員の副業解禁の「今」と「これから」について、どこよりも分かりやすく、そして詳しく解説します。
あなたの自治体の条例の具体的な調べ方から、実際に副業を始めるための申請ステップ、さらには税金の話まで、この記事を最後まで読めばすべてがクリアになります。
新しい一歩を踏み出すための、あなたの疑問や不安を解消する情報がここにあります。
まず結論から!地方公務員の副業は条件付きで解禁の動きが全国で加速しているという現状
最初にこの記事の結論からお伝えします。
地方公務員の副業は、かつての「原則全面禁止」という硬直したイメージから大きく変化し、現在では「公益性のある活動を中心に、条件付きで許可する」という流れが全国の自治体で急速に広がっています。
もちろん、すぐに誰でも自由にどんな仕事でも始められるわけではありませんが、正しい知識と手順を踏めば、あなたにも副業という新たな道が開ける可能性は十分にあります。
この章では、その「今」の全体像をしっかりと掴んでいきましょう。
全国一律の解禁ではなく自治体ごとの条例によって判断が異なるという現状の理解が重要です
まず最も大切なポイントは、地方公務員の副業解禁は、国が一斉に「はい、今日からスタート!」と号令をかけたものではない、という点です。
副業を許可する基準や認められる範囲は、それぞれの都道府県や市区町村が独自に定める「条例」や「規則」によって個別に定められています。
そのため、例えば兵庫県神戸市や奈良県生駒市のように、先進的に副業を推進し、職員の地域活動への参加を後押ししている自治体もあれば、依然として従来通りの厳しい姿勢を崩していない自治体も存在する、というのがリアルな現状です。
ですから、「地方公務員の副業」とひとくくりに考えるのではなく、「自分が所属する〇〇市の副業の現状はどうなっているか」という自分事の視点で情報を集めることが、全ての始まりになります。
副業解禁の最新情報として公益性や地域貢献性が許可の大きな鍵を握っている
全国的な副業解禁の動きの中で、許可されるかどうかの最も大きな判断基準となっているのが、その活動の「公益性」や「地域貢献性」です。
単にお金を稼ぐことだけが目的ではなく、あなたの活動が社会や地域にどのようなプラスの影響を与えるかが問われます。
具体的には、以下のような活動が許可されやすい副業の代表例として挙げられます。
- 地域の課題解決に取り組むNPO法人での活動
- 子どもたちにスポーツを教える地域のスポーツ少年団のコーチ
- 伝統的なお祭りや町おこしイベントの運営スタッフ
- 地域の安全を守る消防団員としての活動
営利目的の活動であっても、例えば自分の専門知識を活かした講演活動や、地域の活性化に繋がるような事業であれば許可されるケースも出始めています。
「お金のため」だけでなく、「地域のため」という視点が、地方公務員の副業における大きな特徴と言えるでしょう。
いつから始めるかを考える前に自分の自治体の現状と条例を把握することが全てのスタートになる
「じゃあ、私はいつから副業を始められるの?」という問いに対して、最も正確な答えは「あなたが自分の自治体の条例を調べ、許可基準を理解したその時から、準備を始められる」です。
SNSやネットニュースの情報だけで「解禁されたらしい!」と焦って副業を探し始める前に、まずはあなたの職場の公式なルールブックである条例を確認することが不可欠です。
どのような手続きが必要なのか、どのような副業が認められているのかを正確に把握することが、後々のトラブルを避ける最大の防御策になります。
この記事で後ほど詳しく解説する条例の調べ方を参考にして、まずはご自身の足元の現状確認から始めてみてください。
そもそも地方公務員の副業が原則禁止とされている根拠と法律の条文をわかりやすく解説
なぜ地方公務員の副業は、民間企業のように自由ではなく、これほど慎重に扱われるのでしょうか。
その背景には、公務員という仕事が持つ「全体の奉仕者」という特殊な立場と、それを担保するための法律による厳格なルールが存在します。
この章では、副業が原則として制限されている法的な根拠について、難しい法律用語を噛み砕いて、その本質を解説します。
このルールを深く理解することが、逆に「どのような副業なら可能なのか」という抜け道ではなく「正道」を見つけるヒントになります。
地方公務員法第三十八条が定める営利企業への従事等の制限が基本ルールとなっている
地方公務員の副業を制限する最も大きな根拠となっている法律が、「地方公務員法」です。
その中でも特に重要なのが第三十八条で、ここには職員が営利を目的とする企業の役員になったり、自分で商売を始めたりすることを原則として禁止すると書かれています。
これは、公務員が特定の企業の利益のために便宜を図ったり、公務員としての立場を不正に利用してお金儲けをしたりすることを防ぐためのルールです。
職務の公正さを保ち、住民全体の利益のために働くという公務員の大原則を守るための、非常に重要な条文なのです。
信用失墜行為の禁止や守秘義務など公務員としての信頼を守るための服務規律
地方公務員法第三十八条以外にも、副業を考える上で常に意識しなければならない「服務上の義務(服務規律)」があります。
代表的な服務規律
信用失墜行為の禁止(第三十三条)
公務員全体のイメージを損なうような、品位に欠ける行動を禁じるルールです。副業の内容や働き方によっては、これに抵触する可能性があります。
守秘義務(第三十四条)
仕事を通じて知り得た秘密の情報を、外部に漏らしてはならないというルールです。副業で得た知見と職務上の情報を混同しないよう、厳格な管理が求められます。
例えば、副業に夢中になるあまりSNSで不用意な発信をしたり、公務員の身分を明かして特定のサービスを過剰に宣伝したりすることも信用失墜行為とみなされる恐れがあります。
これらの服務規律は、副業をするかしないかにかかわらず、公務員である限り常に守るべき基本中の基本です。
職務専念の義務とのバランスが副業許可の判断で重要視されるポイント
そしてもう一つ、非常に重要なのが「職務専念の義務(第三十五条)」です。
これは、勤務時間中は、他の何にも気を取られることなく、自分の本来の仕事に集中しなければならない、という義務です。
副業が許可されるかどうかを任命権者(市長や知事など)が判断する際には、その副業が本業である公務に支障をきたさないか、という点が極めて厳しくチェックされます。
例えば、深夜まで及ぶ副業で翌日の業務中に居眠りをしてしまったり、副業の電話対応などで頻繁に席を外したりするようでは、職務専念の義務に反すると判断される可能性が非常に高くなります。
副業と本業の健全な両立が実現可能であることが、許可を得るための絶対条件なのです。
副業解禁の流れはいつから?国が推進する地方公務員の兼業に関する最新の動向とは
これほど厳しい法律や服務規律がある中で、なぜ今、これほどまでに地方公務員の副業解禁の動きが活発になっているのでしょうか。
その背景には、単なる流行りではなく、日本社会が抱える課題に対応しようとする国の明確な方針があります。
この章では、いつからこのような大きな流れが始まったのか、国の最新情報や公式な通知を基に、副業解禁が推進される3つの大きな理由を掘り下げていきます。
人口減少社会における地域活性化の担い手として公務員の活躍が期待されている現状
副業解禁を後押しする最大の背景は、日本の最も深刻な課題である「人口減少・超高齢化社会」です。
特に地方では、産業の衰退や地域コミュニティの担い手不足が深刻な問題となっています。
そこで、地域の事情に詳しく、企画・調整能力や専門知識といったスキルを持つ地方公務員に、勤務時間外で地域のNPO活動や地域おこしに参加してもらうことで、地域を内側から活性化させようという狙いがあります。
公務員が持つポテンシャルを地域に還元することは、社会全体にとって大きなプラスになると国は考えており、これが副業を後押しする大きな力となっています。
総務省が平成二十九年に発出した通知が地方公務員の副業解禁の流れを大きく変えた
具体的な時代の転換点となったのが、平成29年(2017年)に総務省が各自治体に向けて発出した一つの通知です。
この通知では、地域貢献活動など公益性の高い活動については、公務員の兼業(副業)を許可しやすくなるような解釈や運用の見直しを促す内容が示されました。
これが、いわば国から各自治体への「もっと柔軟に副業を認めてもいいんですよ」という強力なメッセージとなり、それまで副業に極めて消極的だった多くの自治体が、条例や規則の見直しを本格的に検討し始めるきっかけとなりました。
「地方公務員の副業解禁は、いつから流れが変わったか」と問われれば、この平成29年の通知が全ての始まりだったと言っても過言ではありません。
働き方改革の一環として公務員の多様なキャリア形成を後押しする最新の考え方
国が強力に推進する「働き方改革」も、地方公務員の副業解禁を後押しする重要な要素です。
個人のスキルアップや自己実現、そして変化の激しい時代を生き抜くための多様なキャリア形成を支援する観点から、本業以外の活動を認めるべきだという考え方が広まっています。
副業を通じて得た新しい知識や異なる分野の人脈が、結果的に本業である公務員の仕事にも活かされ、住民サービスの向上につながるという好循環も期待されているのです。
これは、公務員の働き方をより柔軟で、やりがいのある、魅力的なものに変えていこうとする、国全体の最新の動向なのです。
あなたの自治体の副業条例を確認する方法!具体的な手順とチェックすべきポイントを解説
ここからは、いよいよ超実践編です。
あなたの副業の可能性を探るために、所属する自治体の公式なルールを具体的に調べる方法を、誰にでもできるようにステップ・バイ・ステップで解説します。
どこに情報があるのか、何をチェックすれば良いのかが分かれば、もう漠然とした不安はありません。
この章を読みながら、ぜひ今すぐにご自身の自治体の現状を調べてみてください。
最も確実な方法は自治体の公式ウェブサイトで例規集を検索すること
自分の自治体の条例を調べる、最も確実で簡単な方法は、自治体の公式ウェブサイトにある「例規集」や「例規データベース」を確認することです。
少し難しそうに聞こえますが、手順は簡単です。
- GoogleやYahoo!などの検索エンジンを開く。
- 「〇〇市 例規集」や「〇〇県 条例」のように、「自治体名+例規集」で検索する。
- 検索結果の上位に表示される、自治体の公式サイト内の例規集ページにアクセスする。
- 例規集のページ内で、「職員の営利企業への従事等の制限に関する規則」や、シンプルに「兼業」「副業」といったキーワードで検索をかける。
そうすると、許可の基準や手続きに関する具体的なルールが書かれた条例や規則が見つかるはずです。
まずは自分の目で一次情報にあたることが、何よりも重要です。
人事課や総務課の服務規律担当者に問い合わせる際の心構えと聞き方のコツ
例規集を読んでみても解釈が難しい場合や、実際の運用がどうなっているかを知りたい場合は、所属の人事課や総務課といった服務規律を担当する部署に直接問い合わせるのが有効です。
ただし、その際の聞き方には少しコツがあります。
いきなり「副業したいんですけど、いいですか?」と尋ねるのではなく、「地域貢献活動の一環で、地域のNPO法人のお手伝いを検討しているのですが、兼業に関する手続きについて念のため確認させていただきたく…」といったように、公益性を前提とした具体的な相談として切り出すのがスマートです。
あくまでもルールを正しく理解して遵守したい、という謙虚な姿勢で臨むことが、担当者から丁寧な説明を引き出すための大切な心構えです。
条例や規則で特に確認すべき許可基準と申請手続きに関する重要項目
条例や規則の条文を確認する際には、特に注意して読み込むべき重要なポイントがいくつかあります。
やみくもに読むのではなく、以下の項目を探しながらチェックしてみてください。
チェック項目 | 確認する内容の例 |
許可の基準 | どのような活動が許可の対象となるか(公益性、地域貢献性など) |
申請手続き | どの書類(兼業許可申請書など)を、誰に、いつまでに提出する必要があるか |
報酬の規定 | 報酬を受け取って良いか、受け取れる場合の上限額はいくらか |
活動時間の制限 | 1週間あたりや1ヶ月あたりの活動時間の上限は定められているか |
禁止事項 | 明確に禁止されている業種や行為は何か |
これらの情報を正確にリストアップし、理解することが、自分のやりたい副業が実現可能かどうかを判断するための最初の、そして最も重要なステップとなります。
地方公務員でも許可されやすい副業の具体的な基準とは?公益性や社会貢献性が鍵になる
では、具体的にどのような種類の副業であれば、地方公務員でも許可を得やすいのでしょうか。
その判断基準は、これまでも触れてきた通り「公益性」や「社会貢献性」というキーワードに集約されます。
この章では、実際に許可申請が通りやすい副業の共通点を、より具体的な事例を交えながら解説します。
あなたが「やってみたい」と思っていることが、この基準に当てはまるかチェックしてみましょう。
非営利活動であること!地域のNPO法人での活動やボランティアなどが代表例
最も許可されやすく、自治体によっては推奨されているのが、営利を目的としない非営利活動です。
報酬が発生しない、あるいは交通費や弁当代などの実費程度の謝礼しかもらわない活動は、営利目的ではないと明確に判断されるため、許可のハードルはぐっと下がります。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- フードバンクや子ども食堂など、地域の課題解決に取り組むNPO法人での運営サポート
- 地域の清掃活動や緑化活動への参加
- 高齢者施設でのレクリエーション補助や、障がい者支援施設でのイベント手伝い
- 災害時の復興支援ボランティア活動
「誰かの役に立ちたい」という純粋な気持ちから始まる活動は、公務員の副業として最も理解を得やすい形です。
地域貢献に直結する活動!地域のスポーツ少年団のコーチや消防団員としての活動
その活動が、あなたが住む、あるいは勤務する地域の活性化やコミュニティの維持に直接つながるかどうかも、非常に重要な判断基準です。
これは、公務員が地域の一員として、その発展に貢献するという非常に分かりやすい構図だからです。
具体的な例としては、地域の子供たちが所属するサッカーチームや野球チームで、自身の経験を活かしてコーチを務めることや、地域の安全を守る消防団員・水防団員としての活動が挙げられます。
他にも、伝統的な祭りの実行委員になったり、地域の見守り活動に参加したりすることも、地域貢献性が高い活動として認められやすいでしょう。
小規模な不動産賃貸や農業など家業の継承や相続に伴うやむを得ないケース
意外に思われるかもしれませんが、親から相続したアパートの経営や、実家の農家を週末だけ手伝うといったケースも、一定の条件下で許可される可能性が高い副業です。
これは、自ら積極的に事業を拡大しようとする営利活動とは異なり、家業の維持や相続といった、やむを得ない事情が背景にあるため、「兼業」として認められやすいのです。
ただし、不動産経営の場合は、いわゆる「5棟10室」基準(戸建てなら5棟以上、アパート・マンションなら10室以上)を超えると事業的規模と見なされ、許可されないことが一般的です。
あくまでも家計の補助的な範囲に留まる小規模なものであり、管理業務を業者に委託するなど、本業に支障が出ない体制であることが条件となります。
これらは絶対にNG!地方公務員が許可されない副業の具体的な事例とその理由を詳しく解説
一方で、地方公務員が絶対に手を出してはいけない、許可される可能性がゼロに近い副業も存在します。
これらは法律や服務規律に明確に違反し、万が一、許可なく行って発覚した場合には、減給や停職といった厳しい懲戒処分が待っています。
この章では、許可されない副業の代表的な例を挙げ、なぜそれがダメなのかという理由まで詳しく解説します。
「知らなかった」では済まされないリスクを避けるために、必ず確認してください。
民間企業の役員就任や自ら事業を営むことは地方公務員法で明確に禁止されている
自分で会社を設立して社長(代表取締役)になったり、友人や知人が経営する株式会社の取締役や監査役といった「役員」に就任したりすることは、地方公務員法第三十八条で明確に禁止されています。
これは、特定の企業の利益と、全体の奉仕者であるべき公務員としての公正な立場が相反する(利益相反)のを防ぐための大原則です。
たとえ無報酬の名誉職的な役員であっても、経営に携わること自体が制限の対象となります。
また、インターネットで個人が開業できるようなネットショップの運営や、継続的に仕事を受けるWebライター、プログラマーなども「自ら営利企業を営むこと(自営業)」に該当するため、原則として許可されません。
信用を損なう可能性のある業務!深夜の接客業や過度に射幸心を煽る情報商材販売など
公務員全体の信用や品位を傷つける可能性のある業務も、もちろん許可されません。
信用失墜行為にあたる可能性が高い業務の例
- 風俗営業や、深夜の酒類提供飲食店(バー、スナック等)での接客業務
- 高額な料金を請求する占い、スピリチュアルカウンセリング、自己啓発セミナー
- 「誰でも簡単に月100万円稼げる」といった謳い文句で販売する情報商材
- マルチレベルマーケティング(ネットワークビジネス、MLM)への関与
これらの業務は、公務員としての社会的信頼性を著しく損なう行為と見なされる可能性が非常に高いです。
たとえ匿名で行っていたとしても、何かのきっかけで発覚した場合のリスクは計り知れません。
本業との利害関係が生じる副業!例えば建設課の職員が建設コンサルタントをすること
自分の現在の職務と、直接的・間接的な利害関係が生じる副業は、絶対に許可されません。
これは、職務上の立場を利用して特定の業者に便宜を図っているのではないか、あるいは職務上知り得た情報を使って利益を得ているのではないか、という住民からの疑念を招き、行政への信頼を根底から揺るがす行為だからです。
最も分かりやすい例は、市の建設課に勤務する職員が、副業として建設コンサルタント会社から設計の仕事をもらうケースです。
他にも、税務課の職員が税理士事務所でアルバイトをする、市のシステムを発注しているIT企業でプログラマーとして働くなど、本業と副業の間で癒着や不正の温床となりうる活動は一切認められません。
地方公務員が実際に副業を始めるための具体的な申請手順をステップバイステップで徹底ガイド
さて、許可される副業とされない副業の基準が明確に理解できたところで、いよいよ最終段階である「申請手続き」に移ります。
どんなに素晴らしい地域貢献活動であっても、正しい手順を踏まなければルール違反になってしまいます。
スムーズな副業開始への一番の近道は、正式なプロセスを一つひとつ丁寧にクリアしていくことです。
この章では、一般的な自治体における申請の流れを、具体的な3つのステップに分けて誰にでも分かるように解説します。
ステップ1:まずは所属長への事前相談!副業を検討している旨を正直に伝える
いきなり人事課に申請書を提出するのは得策ではありません。
まずは、あなたの直属の上司である所属長(課長や係長など)に相談することから始めましょう。
この初動が、その後の手続きを円滑に進める上で非常に重要になります。
相談する際は、「実は、〇〇という地域貢献活動に参加したいと考えておりまして、兼業の手続きについてご相談させていただいてもよろしいでしょうか」という形で、前向きかつ具体的な内容を丁寧に伝えることが大切です。
ここで活動内容やその公益性、そして「本業には決して支障をきたさない」という固い決意をしっかりと説明し、所属長の理解と協力を得ることが、何よりの追い風になります。
ステップ2:兼業許可申請書の作成と必要書類の準備を正確に行う
所属長の了解を得て、具体的なアドバイスをもらったら、次に「兼業許可申請書」や「営利企業等の従事許可申請書」といった公式な申請書類を作成します。
この書類は、通常、自治体の内部ネットワーク(イントラネット)の文書管理システムなどからダウンロードできる場合がほとんどです。
申請書には、以下のような項目を具体的に、そして正確に記入します。
- 副業先の名称・所在地
- 活動の具体的な内容
- 活動する曜日や時間帯
- 報酬の有無と、有る場合はその金額や算定根拠
- 活動予定期間
その他、活動内容が客観的にわかる資料(NPO法人の定款やパンフレット、イベントの募集要項など)の添付を求められることもあります。
記入漏れや間違いがないよう、提出前に何度も確認しましょう。
ステップ3:所属長を経由して任命権者へ申請書を提出し許可を待つ
丁寧に作成した申請書は、まず所属長に内容を確認してもらい、承認の印をもらった上で、人事課や総務課といった担当部署へ提出します。
手続き上、最終的な許可を出すのは、市長や知事、教育委員会の場合は教育長といった「任命権者」ですが、申請のルートは必ず所属部署を通すのが一般的です。
提出後は、人事委員会などでの審査を経て、許可または不許可の通知が来るのを待つことになります。
審査期間は自治体や案件の複雑さによって異なりますが、数週間から1ヶ月程度かかることも想定しておきましょう。
ここで最も重要なのは、正式な「許可通知書」を受け取る前に活動を開始しないことです。
フライングはルール違反となり、許可が取り消される原因にもなりかねません。
全国の地方公務員はどんな副業をしている?実際に許可された興味深い事例を最新情報から紹介
理論だけでなく、実際に他の地方公務員がどのような副業をして、イキイキと活躍しているのか、具体的な事例を知りたい方も多いでしょう。
「こんなこともできるんだ!」という発見は、あなたの新しい可能性を考える上で大きなヒントになるはずです。
この章では、全国の自治体で実際に許可された、ユニークで興味深い副業の事例をいくつかご紹介します。
地域の魅力を発信するライター活動!ふるさと納税の返礼品紹介や観光記事の執筆
自分の住むまちの隠れた魅力や素敵な人々を、文章の力で全国に発信する「地域ライター」としての活動も、許可されやすい副業の一つです。
例えば、移住や地域創生をテーマにしたウェブメディアである「TURNS(ターンズ)」や「灯台もと暮らし」などで、地域の契約ライターとして活動するケースがあります。
ふるさと納税の返礼品を開発した地元企業を取材して紹介記事を書いたり、知る人ぞ知る観光スポットやグルメの魅力を伝える記事を執筆したりする活動は、地域のPRに直結するため公益性が高いと判断されやすいのです。
文章を書くのが好きな方、自分のまちが好きな方にはぴったりの副業です。
プログラミングスキルを活かした地域団体のウェブサイト制作や運営サポート
近年、自己投資でプログラミングやウェブデザインのスキルを身につけた職員が、その専門性を活かして地域に貢献するケースも増えています。
例えば、活動資金が潤沢ではない地域のNPO法人や商店街組合、子ども会などの公式ウェブサイトを制作したり、その後の更新作業やSNS運用のサポートをしたりする活動です。
専門業者に依頼すると数十万円かかることもあるウェブサイト制作を、公務員が地域貢献として安価または実費のみで手伝うことは、地域団体にとって非常に大きな助けとなります。
まさに、現代的なデジタルスキルの地域還元と言える、新しい副業の形です。
専門知識を活かした講演やセミナー講師!防災や資産形成などテーマは様々
公務員として長年培ってきた専門知識や経験を、地域住民のために分かりやすく伝える講演活動も、代表的な副業です。
例えば、消防職員が地域の自主防災会で、最新の知見に基づいた防災セミナーの講師を務めたり、税務課の職員が商工会議所の依頼で、インボイス制度や確定申告の基礎に関するセミナーを行ったりするケースが考えられます。
最近では、自身の経験を基に、他の公務員や地域住民向けに、iDeCoやNISAを活用した「公務員のための中立的な資産形成セミナー」を行うことが許可された事例もあります。
ただし、職務上の秘密に触れる内容や、特定の金融商品を過度に推奨するような営利色の強い内容は厳禁です。
副業を始める前に知っておきたい注意点!地方公務員が守るべき服務規律と確定申告の基礎知識
無事に副業の許可が下り、新しい活動をスタート!…でも、それで終わりではありません。
副業を楽しく、そして長く続けていくためには、常に公務員としての立場をわきまえ、いくつかの重要な注意点を守り続ける必要があります。
また、副業で一定以上の収入を得た場合には、税金の手続きも自分でしなくてはなりません。
この章で、安心して副業ライフを送るための最後のチェックポイントをしっかりと確認しましょう。
副業中も公務員であるという自覚を持ち信用失墜行為や守秘義務違反をしない
最も大切な心構えは、副業をしている時間であっても、あなたは地方公務員であるという事実に何ら変わりはない、ということです。
副業先での言動が、結果として「〇〇市の職員はこんな人だ」と見られ、公務員全体の信用を損なうことにつながる可能性を常に意識する必要があります。
副業先で知り合った人に、職務上知り得た未公開の情報をうっかり話してしまったり、公務員の立場を利用して便宜を図るような言動を取ったりすることは絶対に許されません。
服務規律は、役所の外でも、勤務時間外でも、常にあなたに適用されるということを、決して忘れないでください。
本業である公務員の仕事に支障をきたさないよう時間管理と体調管理を徹底する
副業に熱中するあまり、本業がおろそかになっては本末転倒です。
許可申請の際に約束した通り、本業のパフォーマンスを絶対に落とさないよう、徹底した自己管理が求められます。
夜遅くまで副業をして寝不足になり、日中の業務に集中できない、ミスが増えるといった事態は絶対に避けなければなりません。
また、副業の活動を理由に年次有給休暇を頻繁に取得したり、職場の繁忙期に協力を渋ったりすることも、同僚からの信頼を失う原因になりかねません。
あくまでも本業が「主」、副業が「従」であるという優先順位を、決して間違えないようにしましょう。
副業での所得が年間二十万円を超えた場合は自分で確定申告を行う必要がある
副業によって得た収入(売上)から、その活動にかかった経費を差し引いた金額を「所得」といいます。
この副業での所得の合計が、1年間(1月1日から12月31日まで)で20万円を超えた場合、自分で税務署に「確定申告」をして、所得税を納める必要があります。
公務員は通常、給与から天引きされ、年末調整で納税が完了するため、確定申告に馴染みがない方が多いかもしれません。
しかし、これは法律で定められた国民の義務であり、申告を怠ると無申告加算税や延滞税といったペナルティが課されることもあります。
国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」などを利用すれば、自宅のパソコンからでも比較的簡単に申告が可能です。
副業を始めたら、収入と経費をきちんと記録する習慣をつけておきましょう。
まとめ:地方公務員の副業解禁の現状を正しく理解し条例に沿って新たな一歩を踏み出すために
ここまで、地方公務員の副業解禁に関する現状から、法律の根拠、具体的な始め方のステップ、そして注意点までを詳しく解説してきました。
最後に、この記事の最も重要なポイントを振り返り、あなたが次に取るべき具体的な行動を改めて確認しましょう。
正しい知識を身につけ、正しい手順を踏めば、公務員という安定した基盤を持ちながら、新たな世界に挑戦する道は決して閉ざされてはいません。
地方公務員の副業は自治体の条例次第!まずは自分の職場のルールを正確に知ることが第一歩
地方公務員の副業解禁は、全国一律のルールではなく、あなたの所属する自治体が定める「条例」や「規則」によって全てが決まります。
「いつから解禁?」という問いの答えは、ネットニュースの中ではなく、あなたの自治体の公式サイトの中にあります。
まずは焦らず、この記事で紹介した方法で公式な例規集を確認し、許可の基準や申請手続きといった「今、ここ」の現状を正確に把握することから始めてください。
それが、安全で確実な副業への、最も賢明なスタートラインとなります。
公益性や地域貢献性が許可の鍵!自分のスキルをどう社会に還元できるか考えてみよう
許可を得るための最大のポイントは、単にお金を稼ぐための副業ではなく、自分の持つ知識やスキル、経験を、どのように地域社会のために役立てられるか、という視点を持つことです。
地域のNPO活動、子どもたちへのスポーツ指導、公務で培った専門知識を活かした講演など、あなたの力を待っている場所はきっとあるはずです。
「自分のやりたいこと」と、「社会や地域から求められていること」の接点はどこにあるか、一度じっくり考えてみましょう。
服務規律を遵守し正しい手順を踏むことで公務員としての信頼を守りながら活動できる
副業を始めることは、新たな可能性を手に入れると同時に、新たな責任を負うことでもあります。
地方公務員としての信用を絶対に損なわないこと、本業に決して支障をきたさないこと、そして必要な税務手続きを誠実に怠らないこと。
これらのルールを遵守し、定められた申請手順をきちんと踏むことで、あなたは公務員としての社会的信頼を維持しながら、新しい世界で自分らしく活躍することができます。
この記事が、あなたの新たな挑戦を力強く後押しする一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
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