「国家公務員の副業が解禁されたって本当?」「いつから、どんな副業ならやってもいいの?」と気になっていませんか。
働き方が多様化する現代において、自身のスキルアップや収入増のために副業を考える国家公務員の方は増えています。
しかし、公務員には厳しい服務規律があり、副業に関するルールは複雑でわかりにくいのが実情です。
この記事では、専門用語をできるだけ使わず、国家公務員の副業に関する「いつから?」「範囲は?」「手順は?」といったあらゆる疑問に、具体的な事例を交えながら徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたが副業を始めるための正しい知識と、具体的な一歩を踏み出すための方法がすべてわかっているはずです。
【結論から解説】国家公務員の副業はいつから解禁されたのかという最新の状況
まず最初に、皆さんが最も知りたいであろう結論からお伝えします。
「国家公務員の副業が解禁された」という言葉をニュースなどでよく耳にしますが、その実態は「誰でも自由に何でもできるようになった」というわけではありません。
ここでは、その言葉の正確な意味と、いつからルールが緩和されてきたのかという最新の状況を、背景から分かりやすく解説します。
国家公務員の副業は全面解禁ではなく条件付きでの緩和が現状
現在、国家公務員の副業は、厳密には「全面解禁」されたわけではありません。
正しくは、「特定の条件下で許可される範囲が緩和されている」というのが正確な表現です。
2018年頃から政府が推進する働き方改革の一環として、特に公益性の高い活動などを中心に、兼業が認められやすくなる流れが生まれました。
しかし、これはあくまで許可制であり、事前に申請を行い、所属する省庁の長などから正式な許可を得なければ、副業を行うことはできません。
ニュースなどで「解禁」というキャッチーな言葉が使われるため誤解されがちですが、本業に支障がなく、公務員の信用を傷つけないといった大前提を必ず守る必要があることを、まず最初に覚えておきましょう。
副業緩和の流れはいつから始まったのかその歴史的背景
国家公務員の副業緩和に向けた動きが本格化した大きなきっかけは、2018年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」です。
この中で、人生100年時代を見据え、多様な働き方を推進する一環として、公務員の兼業についても柔軟な対応を検討する方針が示されました。
これを受けて人事院は、「職員の兼業について」という通知を改訂し、社会貢献活動など公益性が高い活動を中心に、兼業許可の判断をより柔軟に行う方針を明確にしました。
つまり、「20XX年4月1日から解禁!」というような明確な日付があるわけではなく、数年前から徐々に社会貢献活動などを中心とした副業が認められやすくなるという「大きな流れ」が続いているのが現状なのです。
解禁という言葉に惑わされず正しいルールを理解することが重要
「副業解禁」という言葉だけを信じて、自己判断で安易に副業を始めてしまうのは非常に危険です。
国家公務員には、国家公務員法によって厳格な服務規律が定められており、無許可での副業は懲戒処分の対象となります。
最悪の場合、職を失うことにもなりかねません。
そのため、副業を検討する際は、まず人事院が定める規則や、ご自身の所属する省庁が公表しているガイドラインを正確に理解することが何よりも大切です。
この記事でその正しい知識を身につけ、安全に副業への一歩を踏み出す準備を始めましょう。
そもそも国家公務員の副業が厳しく制限されている法律上の理由
なぜ国家公務員の副業は、民間企業の社員と比べてこれほど厳しく制限されているのでしょうか。
その背景には、国民全体の奉仕者として、公平性や信頼性を保つための法律上の重い義務があります。
ここでは、副業を制限する根拠となっている3つの大切な原則について、具体例を交えながら分かりやすく説明します。
副業制限の根拠となる3つの義務
- 職務専念の義務:勤務時間は国民のための仕事に集中する義務。
- 守秘義務:職務で知った秘密を漏らさない義務(退職後も続く)。
- 信用失墜行為の禁止:公務員全体の信用を損なう行為をしない義務。
国民全体の奉仕者としての職務に集中するための職務専念の義務
国家公務員法には「職員は、法律又は命令に特別の定がある場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用いなければならない」という「職務専念の義務」が定められています。
これは、簡単に言えば「勤務時間中は、国民のために全力で仕事に集中しなさい」という意味です。
例えば、勤務時間中に副業のメールをチェックしたり、こっそり副業の作業を進めたりすることは、明確にこの義務に違反します。
副業が許可される場合であっても、必ず勤務時間外に行うことが絶対的な大前提となります。
職務上知り得た秘密を守るための守秘義務の重要性
国家公務員は、その仕事柄、国民の個人情報や国の重要な政策情報など、外部に決して漏れてはならない情報に触れる機会が多くあります。
そのため、国家公務員法で「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と「守秘義務」が定められています。
この義務は退職後も永久に続く非常に重い義務であり、副業を選ぶ際には特に注意が必要です。
例えば、副業でコンサルティング業務を行う際に、本業で得た非公開の情報をうっかり話してしまうといった事態は、絶対にあってはなりません。
公務員全体の信用を傷つける行為を禁止する信用失墜行為の禁止
国家公務員法では「職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない」と定められています。
これは「信用失墜行為の禁止」と呼ばれるものです。
重要なのは、たとえ勤務時間外のプライベートな活動であっても、公務員としての信用を損なうような行為は許されないという点です。
例えば、反社会的な活動に関わる副業や、特定の企業と癒着していると国民から疑われるような副業は、国民からの信頼を根底から揺るがすため固く禁じられています。
副業の内容が、世間一般から見て「公務員としてふさわしいか」という視点が常に求められるのです。
【人事院の最新情報】国家公務員の副業で許可される具体的な範囲とは
それでは、具体的にどのような副業であれば許可される可能性があるのでしょうか。
その基準を示しているのが、公務員の人事制度を管轄する人事院です。
ここでは、人事院が公表している情報をもとに、副業許可の判断基準や、許可されやすい活動の範囲について、最新の情報を交えて詳しく解説していきます。
人事院規則が定める兼業許可の判断基準となる3つのポイント
人事院が副業(兼業)の許可を判断する際には、主に以下の3つのポイントを総合的にチェックします。
- ① 公務の信用保証:公務員としての信用を損なわず、行政の公正な運営に支障を生じさせないか。
- ② 職務遂行への影響:副業による疲労などで、本業の職務遂行に支障を生じさせないか。
- ③職員の健康維持:心身の健康を損なう過度な負担にならないか。
申請の際には、自分のやりたい副業が、この3つのポイントをすべてクリアしていることを、具体的に説明する必要があります。
ただ「やりたい」と主張するだけでなく、「なぜそれが許可されるべきか」を客観的な事実で示すことが重要です。
地域貢献や社会貢献など公益性が高い活動は許可されやすい動向
近年の副業緩和の大きな流れとして、特に許可されやすいのが「公益性の高い活動」です。
これらは、公務員としての知見や経験を社会に還元するものであり、むしろ公務の信用を高めることにも繋がると考えられているためです。
例えば、以下のような活動が該当します。
- 認定NPO法人でのプロボノ(専門知識を活かしたボランティア)活動
- 地域のスポーツ少年団や文化団体のコーチ・指導員
- 地域の防災や防犯、まちづくりに関するボランティア活動
- 大学などでの非常勤講師
これらの活動で報酬が発生する場合でも、その額が社会通念上妥当な範囲(交通費や謝礼程度)であれば、許可される可能性は高いでしょう。
本業の職務と利害関係が生じないことが絶対的な条件
副業を許可するうえで、最も厳しく、そして絶対的にチェックされるのが「利害関係の有無」です。
これは、公務員の中立性・公平性を担保するための最重要項目です。
例えば、許認可権を持つ省庁の職員が、その許認可対象となる業界の企業でアドバイザーとして副業を行うことは、癒着を疑われるため絶対に許可されません。
また、補助金を交付する部署の職員が、補助金交付先の団体で報酬を得るような活動も同様に固く禁じられています。
自分の仕事と少しでも関係がある企業や団体での副業は、たとえ善意からであったとしても、疑念を招くため避けるべきです。
これはOK?国家公務員に許可されやすい副業の具体的な事例と範囲
ここからは、より具体的に「こんな副業は許可される可能性がある」という事例を見ていきましょう。
ただし、これらはあくまで一般的な事例であり、最終的な判断は所属する省庁の規則や個別の状況によって異なります。
副業を検討する際の参考として、その範囲や条件をしっかり確認してください。
一定規模以下の不動産投資や駐車場経営の範囲と条件
国家公務員の副業として、古くから比較的広く認められているのが、一定規模以下の不動産投資や駐車場経営です。
これは「事業」ではなく「資産運用」の範囲内と見なされやすいためです。
人事院規則では、許可が不要な規模として以下の目安が示されています。
- 不動産賃貸:独立家屋は5棟未満、アパート・マンション等は10室未満
- 駐車場経営:駐車台数が10台未満
- 共通の条件:年間の家賃収入が500万円未満であること
また、管理業務を不動産管理会社に委託し、自身が運営に直接関与しない(入居者募集やクレーム対応などを行わない)ことも重要なポイントです。
株式投資や投資信託などの資産運用は副業にあたらない
株式投資、投資信託、FX(外国為替証拠金取引)、iDeCo(個人型確定拠出年金)、NISA(少額投資非課税制度)といった一般的な資産運用は、そもそも「事業」や「兼業」とは見なされません。
そのため、許可申請は基本的に不要とされています。
これらは自身の資産を運用する私的な経済行為であり、職務専念義務に違反しない限りは自由に行うことができます。
ただし、勤務時間中に頻繁に株価をチェックしたり、取引を繰り返したりする行為は、職務専念義務違反に問われる可能性がありますので絶対にやめましょう。
実家の農業を手伝うなど小規模な農業の範囲
親から受け継いだ農地で米や野菜を作るといった、自営の小規模な農業も許可の対象となる場合があります。
これも不動産投資と同様に、大規模な事業として行うのではなく、あくまで自家消費や余った分を近所の直売所で少し販売する程度の規模であることが前提です。
本業である公務に支障が出ないよう、休日に作業を行うといった形であれば、「家業の手伝い」として認められやすいでしょう。
耕作面積が広い場合や、法人化して大規模に行う場合は許可されませんので注意が必要です。
許可申請が必要になる執筆活動や講演会講師の範囲
本や雑誌に記事を執筆したり、講演会や研修で講師を務めたりする活動は、事前の許可を得れば行うことが可能です。
特に、自身の専門知識を活かした内容であれば、社会貢献にも繋がると高く評価されることがあります。
ただし、許可を得るためには、報酬額が高額になりすぎないことや、特定の営利企業の宣伝にならないように中立性を保つことなどが求められます。
例えば、大学で非常勤講師として週に一度講義を持つといったケースは、実際に許可を得て活動している公務員もいます。
これはNG!国家公務員が絶対に手を出してはいけない副業の範囲
一方で、国家公務員が絶対に手を出してはいけない、原則として許可されない副業も存在します。
これらは法律で明確に禁止されているものが多く、違反すると厳しい処分が待っています。
後で「知らなかった」では済まされない重要なポイントですので、ここでしっかりと確認しておきましょう。
営利を目的とする民間企業の役員や従業員になること
国家公務員法では、営利企業の役員(取締役、監査役など)を兼ねることや、自ら営利企業を営むこと(自営業)は、原則として禁止されています。
これは「私企業からの隔離」の原則に基づくもので、公務の公正さを保つための非常に厳しいルールです。
例えば、友人が立ち上げたITベンチャーの取締役に名前だけでも貸したり、個人事業主として開業届を出し、Webデザインの仕事を請け負ったりすることは、基本的に許可されません。
これは、たとえ無報酬であっても禁止されているため、注意が必要です。
利害関係のある企業や団体から報酬を得る行為
本業の職務内容と直接的・間接的に関係のある「利害関係者」から、いかなる名目であっても報酬を受け取ることは固く禁じられています。
これは贈収賄などの汚職に繋がるリスクを排除するためです。
例えば、建設業界を監督する立場の職員が、建設会社が主催するゴルフコンペに参加して賞金をもらうといった行為も、利害関係者からの贈与とみなされる可能性があります。
副業を選ぶ際は、自身の仕事内容を厳密に振り返り、少しでも疑念を持たれる可能性のある相手との金銭のやり取りは絶対に避けるべきです。
公務員の信用を著しく傷つける可能性のある業務
法律で明確に禁止されていなくても、「信用失墜行為の禁止」の観点から許可されない副業があります。
それは、一般の国民から見て「公務員がそんな仕事をしているのか」と不信感を抱かせるような業務です。
具体的には以下のようなものが挙げられます。
- 風俗営業、またはその関連業務
- 高額な情報商材の販売や、友人を紹介するマルチ商法など
- ギャンブルに関連する業務(例:パチンコ店の店員)
- 過度に射幸心をあおるような業務
たとえ合法的なビジネスであっても、公務員全体のイメージを損なうと判断されれば、許可されることはありません。
アフィリエイトブログやYouTube収益化の注意点
近年人気のアフィリエイトブログやYouTubeでの広告収入も、国家公務員にとっては注意が必要なグレーゾーンです。
これらは営利目的の「広告事業」とみなされる可能性があり、許可を得るのが非常に難しい分野です。
特に、特定の商品やサービスを過剰に宣伝・推奨する内容は、中立性が求められる公務員の立場と相容れないと判断されがちです。
もし趣味としてブログや動画投稿を行う場合でも、広告を貼って収益化を目指す際には、必ず事前に所属長に相談し、許可の範囲を厳密に確認する必要があります。安易に始めるのは絶対にやめましょう。
国家公務員が副業を始めるための具体的な申請手順をステップで解説
実際に副業を始めたいと思った場合、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。
思いつきで行動して後で後悔しないために、副業の許可を得るための具体的な申請手順を4つのステップに分けて解説します。
この流れをしっかり守ることが、円滑に、そして安全に副業を始めるための鍵となります。
ステップ1は最も重要!まずは直属の所属長へ事前に相談する
書類を準備する前に、まず最初に行うべき最も重要なアクションは、直属の上司(所属長)への「事前相談」です。
いきなり完成した申請書を提出するのではなく、「実は、地域貢献のためにNPOの活動に週末だけ参加したいと考えているのですが、兼業について一度ご相談させていただいてもよろしいでしょうか」といった形で、まずは意向を伝えることが大切です。
この段階で、副業の内容や自分の熱意を真摯に説明することで、その後の手続きが格段にスムーズに進む可能性が高まります。
また、省庁によっては独自のローカルルールや過去の前例があるため、事前に有益な情報を得られるという大きなメリットもあります。
ステップ2で兼業許可申請書など必要な書類を準備する
所属長への相談を終え、前向きな感触を得られたら、次に具体的な申請書類の準備に取り掛かります。
一般的には「兼業許可申請書(兼業承認申請書)」といった様式の書類が必要です。
この書類は、所属する省庁の人事担当部署のウェブサイトや、職員向けの内部ポータルサイトからダウンロードできることが多いです。
申請書には、以下のような項目を詳細に記入する必要があります。
- 兼業先の名称、所在地、事業内容
- 従事する具体的な業務内容
- 兼業を行う期間(例:令和6年10月1日~令和7年9月30日)
- 勤務形態(例:毎週土曜日の10時~15時)
- 報酬の有無、及びその金額や支払い方法
これらの情報は、事前に副業先から正確にヒアリングし、間違いのないように記載しましょう。
ステップ3では申請書の書き方が重要!許可されやすいポイント
申請書を作成する際には、ただ事実を羅列するのではなく、「なぜこの副業が許可されるべきか」を説得力をもって記述することが非常に重要です。
特に、先ほど解説した「公務に支障がないこと」「公益性があること」「利害関係がないこと」を具体的にアピールしましょう。
例えば、「備考欄」や「申請理由」の欄に、以下のような記述を、自分の言葉で具体的に書くと良いでしょう。
「本件兼業は、土日及び祝日のみに行うものであり、勤務時間外の活動であるため、職務専念義務に抵触することはございません。また、活動を通じて得られる知見は、本府省の○○業務においても活用できると考えております。なお、兼業先と当省との間に利害関係は一切ございません。」
ステップ4で許可を得た後の注意点と定期的な状況報告
無事に許可が下りた後も、それで終わりではありません。
兼業許可には通常、1年や2年といった有効期間が設けられています。
副業を継続したい場合は、期間が満了する前に必ず更新の手続きが必要です。
また、申請した内容から変更があった場合(例えば、活動時間や報酬額が増えた、業務内容が変わったなど)は、速やかに再度届け出る義務があります。
許可された条件を遵守し、誠実に対応し続けることが、長期的に副業を続けるための信頼に繋がります。
副業が職場にバレるとどうなる?国家公務員が知るべき動向とリスク
「許可を取るのが面倒だから、バレないようにこっそり副業を始めてしまおう」…もしかしたら、そんな考えが頭をよぎる人もいるかもしれません。
しかし、その考えはあなたの公務員としてのキャリアを終わらせかねないほど非常に危険です。
ここでは、無許可の副業がなぜ発覚するのか、そして発覚した場合にどのような重い処分が待っているのか、その具体的なリスクについて解説します。
副業が発覚する最も多いケースは住民税の通知から
無許可の副業が発覚する最も一般的で、かつ避けがたいきっかけが「住民税」です。
副業で得た所得(収入から経費を引いた額)が年間20万円を超えると、確定申告が必要になります。
その際、何もしないと副業分の所得を含んだ住民税の決定通知書が本業の職場(官庁)に送付されてしまいます。
すると、給与から天引きされる住民税額が他の同僚より不自然に高くなるため、経理や給与の担当者にほぼ100%気づかれてしまいます。
これを避けるため、確定申告の際に住民税の徴収方法を「普通徴収(自分で納付)」に切り替える手続きがありますが、自治体によっては対応が徹底されておらず、特別徴収にまとめられてしまうケースもあり、確実な方法とは言えません。
同僚や第三者からの密告や通報によって発覚するケース
意外に多いのが、同僚や知人、あるいは副業先でのトラブル相手など、第三者からの通報によって発覚するケースです。
特に近年は、SNSでの不用意な投稿がきっかけになることが増えています。
例えば、副業について「週末はWebライターとして月5万円稼いでます!」「副業の収入で高級時計ゲット!」といった内容を気軽に投稿した結果、それを見た誰かが匿名で職場に通報し、問題になる可能性があります。
公務員という立場は、常に多くの人から見られているという意識を持ち、プライベートでの言動にも細心の注意を払う必要があります。
無許可の副業がバレた場合の懲戒処分の具体的な内容
無許可で副業を行い、それが発覚した場合、国家公務員法違反として懲戒処分の対象となります。
懲戒処分には、重い順に以下の種類があります。
- 免職:公務員の身分を失う、いわゆるクビ。最も重い処分。
- 停職:一定期間、職務に従事できず、その間の給与は支給されない。
- 減給:一定期間、給与の一部が減額される。
- 戒告:文書で厳重注意を受け、人事記録に残る。最も軽いが昇進等に影響。
副業の内容や悪質性、本業への影響度合いによって処分の重さは変わりますが、たとえ最も軽い戒告であっても、その後の昇進や人事評価に大きなマイナスの影響を及ぼすことは間違いありません。
軽い気持ちで始めた副業が、あなたが築き上げてきた公務員としてのキャリアを全て失う事態に繋がりかねないのです。
国家公務員の副業に関する今後の動向と将来的な見通し
ここまで国家公務員の副業に関する現状の厳しいルールを解説してきましたが、今後はどうなっていくのでしょうか。
社会の変化とともに、公務員の働き方も間違いなく変わりつつあります。
ここでは、政府全体の動きや、先行する地方公務員の事例を参考に、今後の動向と将来の見通しについて予測します。
政府が推進する働き方改革と副業容認の大きな流れ
政府は現在、労働力人口の減少や経済の活性化を目的として、社会全体の副業・兼業を強力に推進しています。
この大きな流れは、公務員の世界にも確実に影響を与え続けるでしょう。
すぐに全面解禁とはならないまでも、公務員が持つ専門的な知識やスキルを社会で活かすことを後押しする方向性は、今後も変わらないと考えられます。
特に、デジタル分野(DX推進)や地方創生、グローバルな課題解決に貢献するような副業は、より一層認められやすくなる可能性があります。
すでに柔軟な対応を進めている地方公務員の先進的な事例
実は、国家公務員に先んじて、より柔軟な副業ルールを導入している地方自治体も増えています。
例えば、兵庫県神戸市や奈良県生駒市などでは、地域貢献活動に限定した独自の副業許可基準「地域貢献応援制度」などを設けています。
これにより、職員がNPO法人で活動したり、地域産品の開発やPRに関わったりすることを積極的に認めています。
こうした地方公務員の先進的な成功事例がモデルケースとなることで、将来的には国家公務員のルールにも良い影響を与え、許可の範囲がさらに広がっていくことが期待されます。
スキルアップや自己実現を目的とした副業はさらに緩和される可能性
これからの時代、一つの組織だけでキャリアを終えるのではなく、個人が自律的にスキルを磨き、キャリアを形成していくことがますます重要になります。
公務員が副業を通じて新たなスキル(例:データ分析、マーケティング、語学など)を身につけ、それを本業である公務に還元することは、組織全体にとっても大きなメリットです。
そのため、単なる収入目的の副業ではなく、自己成長やスキルアップに明確に繋がるような学習系の副業や、本業の専門性を深めるような研究活動については、今後さらに許可のハードルが下がっていく可能性があります。
これから副業を考える国家公務員におすすめのスキルと準備
副業への理解が深まったところで、実際にアクションを起こすための準備を始めましょう。
やみくもに副業を探すのではなく、将来性があり、かつ公務員の副業として認められやすいスキルを身につけることが成功への近道です。
ここでは、おすすめのスキルと、それを学ぶための具体的な方法を紹介します。
本業の資料作成にも活かせるライティングやWebデザインのスキル
文章を作成するライティングスキルや、見やすい資料を作るデザインスキルは、どんな部署の公務員の仕事にも直接役立つ汎用性の高いスキルです。
これらのスキルを副業レベルまで高めれば、許可を得た上で社会貢献活動団体の広報誌を作成したり、地域のNPOのウェブサイトの更新を手伝ったりといった形で社会に貢献できます。
これらのスキルは、オンライン学習プラットフォームのUdemyやSchooなどで、初心者からでも手軽に、そして体系的に学ぶことが可能です。
まずは基礎を学び、自分のスキルとして確立することから始めてみましょう。
地域貢献に直結しやすいNPO法人での活動やボランティア
前述の通り、NPO法人での活動や地域貢献に繋がるボランティアは、国家公務員の副業として最も許可されやすい王道の分野です。
まずは、ご自身がお住まいの地域のNPO法人やボランティア団体を検索してみましょう。
「activo(アクティボ)」のようなNPO・社会的企業のボランティアや職員募集に特化した情報サイトを利用すれば、自分の興味(子ども、環境、国際協力など)やスキルに合った活動を簡単に見つけることができます。
いきなり有償の仕事を探すのではなく、まずは無償のボランティアから参加してみるのも、実績作りとして非常に有効な一歩です。
副業を始める前に必ず行いたい時間管理術と家族の理解
副業を始めることは、あなたのプライベートの時間が減ることを意味します。
本業に支障をきたさず、かつ心身の健康を維持するためには、徹底した時間管理が不可欠です。
まずは、現在の自分の時間の使い方を1週間単位で書き出してみて(タイムログ)、副業に充てられる時間が現実にどれくらいあるのかを正確に把握しましょう。
また、ご家族がいる場合は、副業を始めることについて事前にしっかりと話し合い、理解と協力を得ておくことが、トラブルなく長く続けていくためには非常に重要です。
まとめ
最後に、この記事で解説してきた国家公務員の副業に関する重要なポイントを改めて振り返ります。
正しい知識を身につけ、適切な手順を踏むことで、あなたのキャリアと人生をより豊かにする副業への道が開けます。
国家公務員の副業は全面解禁ではなく正しい知識と手順が不可欠
本記事で繰り返しお伝えしてきた通り、国家公務員の副業は「全面解禁」されたわけではなく、あくまで「条件付きで緩和」されている状況です。
許可される副業の範囲は限定的であり、始めるには必ず所属長の許可を得るという厳格な手順が必要です。
職務専念の義務、守秘義務、信用失墜行為の禁止という3つの原則を常に念頭に置き、法律や規則を遵守することが大前提となります。
ネットの安易な情報に惑わされず、正しい知識を身につけることが、失敗を避けるための何よりの防御策です。
許可の範囲や動向を理解し自分に合った副業を検討しよう
許可されやすい副業には、一定規模以下の不動産投資や小規模農業、そして特に公益性の高い社会貢献活動などがあります。
一方で、営利企業の経営や利害関係者からの報酬受領は固く禁じられています。
今後の動向として、副業緩和の流れは続くと予測されますが、その中心はあくまでスキルアップや地域貢献に繋がる活動となるでしょう。
これらの最新情報を踏まえ、自身のスキルや興味、そして「国民全体の奉仕者」という公務員の立場にふさわしい副業は何かをじっくりと検討してみてください。
最初の一歩は情報収集と信頼できる上司への相談から
もしあなたが本気で副業を検討しているなら、今すぐやるべきことは二つです。
一つは、人事院やご自身の所属する省庁が公表している兼業に関する最新のガイドラインを改めて熟読し、一次情報から正確な知識をさらに集めること。
そしてもう一つは、信頼できる直属の上司に「相談」という形で、あなたの前向きな考えを伝えてみることです。
正しい知識と誠実な姿勢があれば、きっと道は開けます。
この記事が、あなたの新たな挑戦への確かな一歩となることを心から願っています。
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