失業保険をもらいながら、少しでも生活の足しにと副業を始めたけれど「この収入って確定申告が必要なの?」「申告したらハローワークにバレるんじゃないか…」といった不安を抱えていませんか。
あるいは、年の途中で退職したために年末調整を受けておらず、「払いすぎた税金はどうなるの?」「かさんだ医療費を取り戻す方法はないの?」と悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、そんなあなたの不安や疑問を一つひとつ解消します。
失業保険と副業収入にまつわる確定申告の基本から、バレる心配なく手続きを進める具体的な方法、さらには年末調整を受けていない方が医療費控除などで損をしないためのステップまで、専門用語も分かりやすく解説しながら進めていきます。
この記事を読み終える頃には、あなたが今何をすべきかが明確になり、安心してお金の管理と手続きを進められるようになっているはずです。
まず結論から!失業保険と副業収入の確定申告は必須!正しく行えばバレる心配はありません
色々な情報があって混乱しているかもしれませんが、まず最も大切な結論からお伝えします。
失業保険を受けながら得た副業の収入が一定額を超えた場合、確定申告は法律で定められた国民の義務です。
しかし、多くの方が心配する「バレる」という問題は、正しい知識を持って手順通りに申告をすれば避けられます。
むしろ、申告しないことのリスクのほうが遥かに大きいのです。
ここでは、なぜ確定申告が必要で、どうすれば安心して手続きできるのか、その核心部分を解説します。
副業の年間所得が20万円を超えたら確定申告が必要になります
あなたが失業保険を受給しているかどうかに関わらず、副業で得た年間の「所得」が20万円を超えた場合、原則として確定申告を行う義務があります。
ここで重要なのは「収入」ではなく「所得」という点です。
所得とは、得た収入の全額から、その収入を得るためにかかった「必要経費」を差し引いた、いわば「儲け」の部分を指します。
例えば、Webライターとして年間35万円の報酬(収入)を得て、仕事で使うパソコンの購入費や通信費、取材のための交通費などの経費が合計10万円かかった場合、所得は「35万円 – 10万円 = 25万円」となり、20万円を超えるため申告が必要です。
フリマアプリでの不用品売却は基本的に申告不要ですが、営利目的で商品を仕入れて転売している場合は、その儲け(所得)が年間20万円を超えれば、確定申告の対象となるので注意しましょう。
正しい申告はあなたを守るための手続きでありペナルティを避ける手段です
「確定申告」と聞くと、税務署に監視されるような、何かを追及されるような怖いイメージを持つかもしれませんが、実際はその真逆です。
確定申告は、あなたが「これだけの所得を得て、法律に従ってきちんと税金を計算しました」と、国に対して正々堂々と宣言する行為です。
この手続きを正直に行うことで、後から無申告を指摘され、「無申告加算税」や「延滞税」といった重いペナルティを課される将来のリスクを完全になくすことができます。
つまり、正しい申告はあなた自身を金銭的な損失や精神的な不安から守るための、いわば「鎧」のようなものなのです。
ハローワークへの申告と税務署への確定申告は全く別の手続きです
多くの方が混同しがちなのが、ハローワークへの「失業認定申告」と、税務署への「確定申告」です。
この二つは目的も提出先も全く異なり、それぞれ個別に対応する必要があります。
- ハローワークへの失業認定申告:失業保険の給付を受けるために、「失業状態であること」や「少しだけ働いたこと」を報告する手続きです。目的は「雇用保険の適正な給付」です。
- 税務署への確定申告:1年間(1月1日~12月31日)の全ての所得を計算し、「所得税額を確定させて納税する」ための手続きです。目的は「国の税金の計算」です。
ハローワークに副業収入をきちんと報告し、かつ、税務署にも所得が20万円を超えていれば確定申告を行う。
この両方を正しく行うことが、唯一の正解であり、トラブルを避けるための最善策です。
そもそも失業保険の給付金自体は確定申告が必要な収入なのでしょうか
副業の収入とは別に、失業中に受け取る「失業保険の給付金」そのものは、税金の計算上どのように扱われるのでしょうか。
この給付金も確定申告に含めるべきなのか、それとも含めなくて良いのか。
この点を正しく理解しておくことは、確定申告の全体像を掴む上で非常に重要です。
ここでは、失業保険(正式名称:雇用保険の基本手当)の税法上の位置づけを分かりやすく解説します。
結論として失業保険の給付金は非課税所得であり確定申告は不要です
安心してください。
失業保険の給付金は、雇用保険法という法律で「非課税所得」と明確に定められています。
非課税所得とは、その名の通り「税金がかからない収入」という意味です。
したがって、あなたが1年間に失業保険を合計でいくら受け取ったとしても、その金額を確定申告書に記入する必要は一切ありません。
これは、失業中の生活を支えるためのセーフティネットという給付金の性質を考慮した、国による特別な措置なのです。
非課税なので失業保険の受給額が配偶者控除などの判定に影響することもありません
失業保険が非課税であることのもう一つの大きなメリットは、税法上の「扶養」に関する判定に影響しない点です。
例えば、あなたが配偶者の扶養に入っている場合、あなたの年間の合計所得金額が48万円を超えると、配偶者は配偶者控除を受けられなくなります。
しかし、失業保険の給付金は、この所得の計算に全く含まれません。
そのため、たとえ失業保険を年間100万円以上受け取ったとしても、それが原因で扶養から外れることはありません。
扶養内でいたい場合は、副業で得た「所得」の金額だけを48万円以下に管理すれば良いということになります。
失業保険と似ているようで異なる再就職手当などの扱いについて
失業保険に関連する給付金には、早期の再就職を促すための様々な手当があります。
これらの手当も、失業保険の基本手当と同様に、すべて非課税所得として扱われます。
具体的には、以下のような手当が該当します。
- 再就職手当
- 就業促進定着手当
- 就業手当
- 常用就職支度手当
これらの手当を受け取った場合も、確定申告は不要です。
失業や再就職に関連してハローワークから受け取るお金のほとんどは、税金がかからないと覚えておくと良いでしょう。
失業保険受給中の副業収入がバレる仕組みと確定申告をすべき本当の理由
「正直に申告したら損をする。黙っていればバレないのでは?」という考えは、残念ながら通用せず、非常に危険です。
税務署や市区町村は、私たちが思う以上に様々な方法でお金の流れを把握しています。
なぜ副業収入が無申告だとバレてしまうのか、その具体的な仕組みを知ることで、確定申告をきちんと行うことの重要性がより深く理解できるはずです。
ここでは、無申告が発覚する典型的な3つのパターンを解説します。
支払調書を通じて税務署はあなたの収入を把握しています
あなたが企業から業務委託などで報酬を受け取ると、その企業は「誰に、いつ、いくら支払ったか」という情報を記載した「支払調書」という書類を作成します。
そして、法律により、この支払調書を税務署に提出することが義務付けられています。
例えば、あなたがWebライターとしてA社から年間30万円の報酬を受け取った場合、A社はあなたのマイナンバーと共に「〇〇さんに30万円支払いました」という情報を税務署に報告します。
税務署は、その支払調書とあなたの確定申告の内容をコンピューターで簡単に照合できるため、もしあなたが申告していなければ、収入があったにもかかわらず申告していない事実を即座に把握できるのです。
これが、無申告が発覚する最も多いパターンです。
住民税の通知から会社に副業がバレる可能性とその対策
これは特に、再就職した後に副業を続けたいと考えている方が注意すべき点です。
確定申告をすると、その情報は税務署からあなたが住む市区町村に連携され、その情報をもとに翌年の住民税が計算されます。
もしあなたが対策をしないと、本業の給与と副業の収入を合算した金額で住民税が計算され、その「給与の割に高い住民税額」の通知が本業の会社に届いてしまいます。
会社の給与担当者が「この給料でこの住民税は高すぎるな…?」と不審に思い、そこから副業が発覚する可能性があります。
これを防ぐための具体的な対策は後の章で詳しく解説します。
匿名性の高い取引でも銀行口座の入出金履歴は調査の対象になります
フリマアプリや個人間の取引など、支払調書が発行されない収入であっても安心はできません。
税務署は法律に基づき、金融機関に対して口座情報の照会を行う強い権限を持っています。
税務調査の対象となった場合や、第三者からの通報(タレコミ)など何らかのきっかけがあった場合、あなたの銀行口座の入出金履歴はすべてチェックされる可能性があります。
継続的に不審な入金があれば、そこから無申告を指摘されるケースも決して少なくありません。
「誰も見ていない」ということはないのです。
確定申告が必要になる副業収入の具体的な金額と注意すべきポイントについて
「副業収入」と一言で言っても、その種類は様々です。
そして、収入の種類によって税金の計算方法、つまり「所得」の分類や計算方法が異なります。
ここでは、どのような収入が確定申告の対象となり、所得20万円のボーダーラインをどのように考えれば良いのか、具体的な事例を交えながら解説します。
ご自身の収入がどれに当てはまるかを確認してみましょう。
所得とは収入そのものではなく経費を差し引いた利益のことです
確定申告で最も重要な概念が「所得」です。
これは、「収入(売上)- 必要経費 = 所得(儲け)」という式で計算されます。
例えば、ハンドメイド作品をネットで販売して年間50万円の売上(収入)があったとします。
そのために材料費で15万円、販売サイトの手数料で5万円、梱包材や送料で10万円かかった場合、経費の合計は30万円です。
この場合、所得は「収入50万円 – 経費30万円 = 20万円」となり、確定申告が必要かどうかのボーダーライン上になります。
経費として認められるものを漏れなく計上することが、正しい税額計算の第一歩です。
アルバイトやパートで得た給与収入は扱いが異なるので注意が必要です
もしあなたの副業が、企業に雇用されて給料をもらうアルバイトやパートだった場合、その収入は「事業所得」や「雑所得」ではなく「給与収入」となります。
この場合も年間収入が20万円を超えれば確定申告が必要というルールは同じですが、所得の計算方法が異なります。
給与収入の場合は、必要経費を自分で計算する代わりに「給与所得控除」という、みなし経費が自動的に適用されます。
ただし、失業保険をもらいながらアルバイトをする際は、ハローワークへの申告ルールが非常に厳しいため、事前に労働時間や収入の上限を必ず確認することが不可欠です。
フリマアプリでの不用品売却は原則非課税ですが事業とみなされる場合もあります
メルカリやラクマといったフリマアプリで、家にある洋服や本などの不用品を売って得た収入は「生活用動産の譲渡」とされ、原則として税金はかからず、確定申告も不要です。
しかし、儲けることを目的に商品を安く仕入れて高く売る、いわゆる「せどり」のような行為を継続的に行っている場合は「事業」とみなされます。
この場合、得られた所得(売上から仕入代金や手数料などを引いた儲け)が年間20万円を超えれば、確定申告が必要になります。
不用品の処分なのか、ビジネスなのか、その実態によって判断が分かれる点に注意してください。
年の途中で退職して年末調整を受けていない人が確定申告でやるべきこと
年の途中で会社を退職し、年末の時点でどの会社にも所属していない場合、あなたは年末調整を受けることができません。
年末調整は、その年の税金の過不足を会社が精算してくれる大切な手続きです。
これが行われないと、ほとんどの場合、あなたは税金を払い過ぎたままの状態になっています。
確定申告は、その払い過ぎた税金を取り戻す(還付を受ける)ための、あなたにとって非常に有利な手続きなのです。
退職した会社から源泉徴収票を必ず受け取りましょう
確定申告を行うためには、退職した会社から発行される「源泉徴収票」が絶対に必要です。
源泉徴収票には、あなたがその年にその会社から受け取った給与の総額と、すでに天引きされた所得税(源泉徴収税額)の金額という、申告に不可欠な情報が記載されています。
通常、退職後1ヶ月程度で郵送されてきますが、もし届かない場合は、ためらわずに会社の給与担当者に連絡して発行を依頼してください。
源泉徴収票の発行は所得税法で定められた会社の義務なので、必ず発行してもらえます。
確定申告をすることで払い過ぎた所得税が戻ってくる可能性があります
会社員は毎月の給料から所得税が天引き(源泉徴収)されていますが、この金額はあくまで概算で、少し多めに設定されています。
生命保険料控除や地震保険料控除といった個人の事情は、本来年末調整で反映され、最終的な正しい税額が確定します。
年の途中で退職したあなたは、この精算が行われていないため、税金を多めに納めているケースがほとんどです。
確定申告でこれらの控除を正しく申告することで、源泉徴収された税金の一部が「還付金」として、あなたの銀行口座に振り込まれます。
国民年金や国民健康保険の保険料も控除の対象になります
会社を退職すると、厚生年金や会社の健康保険から、国民年金や国民健康保険に自分で切り替えることになります。
退職後に自分で支払った国民年金保険料や国民健康保険料の全額は、「社会保険料控除」として所得から差し引くことができます。
これにより課税対象となる所得が減り、結果的に税金が安くなります。
支払ったことを証明する日本年金機構から送られてくる「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」や、市区町村からの納付額通知書などを大切に保管しておきましょう。
失業中にこそ活用したい確定申告の医療費控除!対象となる費用と申請方法を解説
失業中は収入が減るため、病気やケガによる医療費の負担がいつも以上に重く感じられるものです。
そんな時にぜひ活用したいのが、税金の負担を軽くできる「医療費控除」という制度です。
1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告をすることで税金が還付される可能性があります。
ここでは、どのような費用が対象になるのか、具体的な申請方法と合わせて解説します。
年間の医療費が10万円を超えたら医療費控除を検討しましょう
医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までの1年間で、あなた自身や「生計を一にする」家族のために支払った医療費の合計が、原則として10万円を超えた場合に適用できます。
(※その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%を超えた場合に適用されます)
この「生計を同じにする」とは、同居していなくても、例えば田舎に住む親に生活費の仕送りをしている場合、その親の医療費も合算できます。
家族全員分の医療費を合算できることを覚えておきましょう。
通院の交通費や市販薬の購入代金も対象になる場合があります
医療費控除の対象は、病院での診察代や処方薬代だけではありません。
意外と知られていませんが、以下のような費用も対象になる可能性があります。
- 対象になるもの:通院のための電車やバス代、治療目的で購入した風邪薬や胃腸薬、レーシック手術費用、歯科でのインプラント費用など
- 対象にならないもの:自家用車で通院したガソリン代や駐車場代、美容目的の整形費用、健康維持のためのサプリメント代など
通院時の交通費はメモを残し、市販薬を購入した際のレシートは必ず保管しておく習慣をつけましょう。
対象範囲は意外と広いので、しっかり確認することが大切です。
医療費控除の明細書の作成と領収書の保管が重要です
医療費控除を申請するには、「医療費控除の明細書」という書類を作成し、確定申告書に添付して提出する必要があります。
この明細書には、医療を受けた人ごと、病院・薬局ごとに支払った医療費を記入します。
以前はすべての領収書の提出が必要でしたが、現在は明細書の提出だけで済むようになり、手続きが簡素化されました。
ただし、税務署から後日確認を求められた場合に備えて、元になった領収書は自宅で5年間保管しておく義務がありますので、絶対に捨てないでください。
ステップで解説!失業保険受給者が副業収入の確定申告をする具体的な手順
いざ確定申告をしようと思っても、何から手をつけて良いか分からない、と尻込みしてしまう方も多いでしょう。
しかし、手順を一つずつ確認しながら進めていけば、決して難しいものではありません。
ここでは、初心者の方が迷わないように、準備から申告書の提出までを具体的な4つのステップに分けて解説します。
この通りに進めれば、あなたも自分で確定申告を完了させることができます。
ステップ1 必要書類を漏れなく準備する
まずは申告に必要な書類を、漏れがないように集めましょう。
以下のリストを参考に、クリアファイルなどにまとめておくと後の作業がスムーズに進みます。
- 給与に関する書類:退職した会社から受け取る「源泉徴収票」
- 副業に関する書類:収入額と経費が分かる帳簿や領収書、請求書など
- 控除に関する書類:国民年金等の「社会保険料控除証明書」、生命保険の「控除証明書」、医療費の領収書や集計した明細書など
- 本人確認書類:マイナンバーカード(または通知カード+運転免許証など)
特に源泉徴収票と各種控除証明書は申告の根幹となるため、絶対に紛失しないようにしましょう。
ステップ2 国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用する
申告書を手書きで作成するのは非常に大変なので、国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」の利用を強くおすすめします。
このシステムは、画面の案内に従って金額などを入力していくだけで、税額を自動的に計算し、申告書を作成してくれる非常に便利な無料のツールです。
専門的な税金の知識がなくても、質問に答えていく感覚で作業を進められるため、初心者の方でも安心して利用できます。
ステップ3 収入と所得、各種控除を正確に入力する
「確定申告書等作成コーナー」の画面を開いたら、準備した書類を見ながら入力していきます。
まずは「給与所得」の欄に、源泉徴収票の内容をそのまま転記します。
次に、副業の収入については「雑所得(その他)」または「事業所得」の欄に、年間の総収入額と必要経費の合計額を入力します。
すると所得額が自動で計算されます。
その後、社会保険料控除や医療費控除などの各控除の欄に、準備した証明書を見ながら支払った金額を間違いなく入力していきましょう。
ステップ4 完成した申告書を税務署に提出する
全ての入力が終わると、納付または還付される税額が自動で計算されて表示されます。
内容を最終確認したら、申告書を提出します。
提出方法は主に以下の3つです。
- e-Tax(電子申告):マイナンバーカードと対応スマホ等があれば、自宅からオンラインで全て完結でき、最もおすすめです。
- 郵送:作成した申告書を印刷し、管轄の税務署に郵送します。
- 窓口持参:税務署の窓口に直接持っていきます。
提出期限は原則として翌年の2月16日から3月15日までです。
期限間際は混雑するため、余裕を持って2月中に終わらせることを目標にしましょう。
確定申告をすることで副業が本業の会社にバレるのを防ぐための具体的な対策
失業中の方だけでなく、無事に再就職した後も副業を続けたいと考えている方にとって、副業が会社にバレないかどうかは大きな関心事でしょう。
先ほど少し触れましたが、確定申告の際に「ある一手間」を加えるだけで、住民税の通知から副業が発覚するリスクを大幅に下げることができます。
ここでは、その具体的な対策について詳しく解説します。
確定申告書第二表の住民税に関する事項で普通徴収を選択する
会社に副業を知られないための最も重要なポイントは、確定申告書第二表(B様式)の下部にある「住民税に関する事項」という欄です。
ここに「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」を選択する箇所があります。
ここで、「自分で納付(普通徴収)」に必ずチェックを入れてください。
これを忘れて初期設定の「給与から差引き(特別徴収)」のまま提出してしまうと、副業分の住民税も合算されて会社に通知されてしまうので、絶対に忘れないようにしましょう。
普通徴収を選択すると副業分の納付書が自宅に届きます
「普通徴収」を選択すると、市区町村は住民税を2種類に分けて計算してくれます。
本業の給与にかかる住民税はこれまで通り給料から天引き(特別徴収)されますが、副業の所得にかかる住民税の納付書だけが、別途あなたの自宅に郵送されてきます。
会社の給与担当者は、この副業分の住民税額を知ることがないため、住民税の金額から副業が発覚するリスクを回避できるのです。
あとは自宅に届いた納付書を使って、自分で金融機関やコンビニで納付手続きをすれば完了です。
ただし自治体によっては普通徴収が認められない場合もあるので注意が必要です
この普通徴収への切り分けは、多くの自治体で対応していますが、残念ながら一部の自治体では、原則として特別徴収に統一するという方針をとっている場合があります。
そのため、この対策は100%確実な方法とは言えないのが実情です。
もし絶対に会社に知られたくないなど、心配な場合は、確定申告書を提出する前に、お住まいの市区町村の住民税担当課に電話などで「副業分の住民税を普通徴収に切り分けたいのですが可能ですか」と確認しておくことをお勧めします。
確定申告を忘れたらどうなる?失業保険の不正受給と無申告のペナルティについて
もし確定申告をしなければならないのに、うっかり忘れてしまったり、意図的にしなかったりした場合はどうなるのでしょうか。
また、ハローワークへの申告を怠った場合はどうなるのでしょうか。
軽い気持ちでルールを破ると、後で大きな代償を払うことになりかねません。
ここでは、申告を怠った場合に課される厳しいペナルティについて解説します。
税務署からのペナルティである無申告加算税と延滞税
確定申告の期限内に申告をしなかった場合、本来納めるべき税額に加えて「無申告加算税」が課されます。
この税率は、納付すべき税額に対して15%~20%と非常に高いものです(税務調査の事前通知後に自主的に申告した場合)。
さらに、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて「延滞税」もかかります。
申告が遅れれば遅れるほど、支払うべき金額は雪だるま式に増えていくのです。
ハローワークに副業を申告しなかった場合の失業保険の不正受給
税務署への確定申告とは全く別に、失業保険の受給中にアルバイトや副業をした場合は、4週間に一度の「失業認定日」にハローワークへその事実を申告する義務があります。
もしこれを隠して給付金を受け取ると「不正受給」とみなされ、非常に重いペナルティが待っています。
不正受給が発覚した場合、支給された給付金の全額返還はもちろん、その返還額の最大2倍にあたる金額の納付(いわゆる「3倍返し」)を命じられることがあります。
絶対に正直な申告が必要です。
税務署とハローワークは連携して情報を調査する可能性があります
「税務署とハローワークは別々の役所だから、片方にバレてももう片方にはバレないだろう」と考えるのは大きな間違いです。
両者は国民の大切な公金を取り扱う組織として、必要に応じて相互に情報照会を行うことがあります。
例えば、税務調査で副業収入が発覚した場合、その収入を得ていた期間に失業保険を受給していなかったかどうかが確認される可能性があります。
両方に正直に申告することだけが、あなたを守る唯一の安全策です。
まとめ
これまで、失業保険受給中の副業収入に関する確定申告について、様々な角度から解説してきました。
多くの不安や疑問は解消されたでしょうか。
最後に、この記事で解説してきた重要なポイントを改めて確認し、あなたが次にとるべき行動を明確にしましょう。
失業中の副業収入と確定申告に関する重要ポイントの再確認
この記事の重要ポイント
失業保険の給付金自体は非課税なので申告は不要です。
しかし、副業で得た所得が年間20万円を超えた場合は確定申告が義務となります。
申告をしないと税務署から重いペナルティがあり、ハローワークへの申告を怠ると「不正受給」となります。
年の途中で退職した方は、確定申告で医療費控除や社会保険料控除を活用することで、払い過ぎた税金が戻ってくる可能性が高いです。
正しい申告は、あなた自身を守るための手続きなのです。
不安な場合は無料相談などを活用して専門家の力を借りましょう
もし自分一人で手続きを進めるのがどうしても不安な場合は、専門家の力を借りることも有効な選択肢です。
確定申告の時期(2月~3月)になると、税務署や市区町村の役所で無料の相談会が開催されます。
また、地域の税理士会が主催する無料相談会もあります。
こういった場所で具体的な書類を見せながら質問すれば、的確なアドバイスをもらえますので、一人で抱え込まず、利用できるサービスは積極的に活用しましょう。
正しい知識を身につけて安心して新しい一歩を踏み出しましょう
確定申告や税金の話は、どうしても「難しくて面倒だ」と感じられるかもしれません。
しかし、その仕組みを一度理解してしまえば、決して怖いものではありません。
むしろ、税金の還付を受けられたり、将来のペナルティを避けられたりと、あなたにとってプラスになることばかりです。
この記事で得た知識を元に、自信を持って確定申告の手続きを進め、お金の不安を解消して、安心して次のキャリアへの一歩を踏み出してください。
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